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- 2025年11月号WEB版
2025年11月、12月の活動内容やご提供いただいた情報をまとめ、地域保健2025年11月号WEB版のインデックスとしています。記事やイベントの詳細はそれぞれのリンクをご利用の上ご覧ください。
<表紙のことば>
朝のひかりが 白く息を吐くと、森が目を覚ます
落ち葉は やわらかく地に重なり、
木々は 静けさに寄り添い、ゆっくり息をする。
少しずつ、凍てつく空気の奥に
小さな芽吹きの予感をのこして
僕たちでは見ることのできない
ぬくもりが いつも すぐそばにあって満ちている。
触れられないほどの、やさしい光とともに。
絵・なるかわしんご
https://narukawa-shingo.work/
【イベント開催報告】「まちの保健室」ITOGUCHI&地域保健の合同企画映画『じょっぱり 看護の人 花田ミキ』上映会&トークセッション

地域保健WEB連載 フランスの親子まるごと支援(奇数月の30日更新)
WHOは2012年にウェルビーイングを「良い心身の健康状態、頼れる人がいること、家族の安定性、周りの人を信頼できること」と定めている。子どもの権利条約にもフランス語訳には「ウェルビーイングに必要なケアや医療を国が保障する」とある(日本政府訳は「福祉に必要な保護及び養護を確保する」)。ウェルビーイングはフランス語で「bien-être(良い、在る)」という言葉で子どもでも日常的に使う身近な言葉だ。逆は「mal-être(悪い、在る)」で、無口だったり勉強に集中できなかったり意地悪なことをしたりといった状況を指す。大人たちは子どもについて「悪い、在る」が観察されたとき支援をスタートさせ放置しない。成績よりも心理的健康の方が大事であるという取り組みは2011年より一貫して続けられてきており、3歳以上の子どものウェルビーイングの状況について国立保健機構が調査もしている。
フランスで教育の目的は「開花」である。花が開くことができるように環境を大人が整えるというイメージだ。「自立」という言葉も日仏で使われるが、その道のりは違って語られる。日本では経済力を身につけ自分でできるようになること、フランスでは自尊心が十分育ち、自分の関心があることを見つけるというステップがあった先の仕事や暮らしと考えられている。(本文より)
〈著者プロフィール〉
安發明子(安發明子公式サイト)
フランス子ども家庭福祉研究者。ソーシャルワーカー養成校AFRISパリ理事。 立命館大学大学院人間科学博士、EHESSフランス国立社会科学高等研究院健康社会政策学修士、社会学修士、一橋大学社会学学士。 首都圏で生活保護ワーカーとして勤務したのち2011年渡仏。 子どもが幸せに育つための文化の醸成に取り組んでいる。 著作『一人ひとりに届ける福祉が支える フランスの子どもの育ちと家族』(2023)かもがわ出版、翻訳書『ターラの夢見た家族生活 親子まるごと支えるフランスの在宅教育支援』(2024)サウザンブックス、『NOと言えるようになるための絵本』(2025)ゆまに書房。
地域保健WEB連載 なな先生のことばの発達教室(奇数月の15日更新)
5歳児健診の話題をあちこちで耳にするようになりました。就学時健診だけでは拾いきれない小さなサインを、もう一歩手前の時期に共有し、家庭・園・医療・福祉・教育へ橋を架ける、そのための体制づくりがまさに今動いているのを感じます。
こうした変化に伴い、本年、5歳児健診の時期のことばの発達をテーマにした講演のご依頼があったり、周囲の母子保健関係者の方から「発音の幼さは様子見でよいか」「吃音(きつおん)がある子はどうすればよいか」「集団で指示が入りにくい子への声かけはどう具体化するか」「文字読みや音韻意識の芽生えは健診でどこまで見ればよいか」といったご相談を受けたりすることが増えました。地域はさまざまでも現場が直面する迷いのポイントは共通しており、この時期に共通したことばのお悩みが見えてくるようで興味深いものです。
〈著者プロフィール〉
寺田 奈々(ことばの相談室ことり 言語聴覚士)
慶應義塾大学文学部卒。養成課程で言語聴覚士免許を取得。総合病院、プライベートのクリニック、専門学校、区立障害者福祉センターなどに勤務。年間100 症例以上のことばの相談・支援に携わる。専門は、ことばの発達全般・吃音・発音指導・学習面のサポート・失語症・大人の発音矯正。著書に『子どもとのコミュニケーションがどんどん増える! 0~4歳 ことばをひきだす親子あそび』(小学館)、『発達障害&グレーゾーン幼児のことばを引き出す遊び53』(誠文堂新光社)。
地域保健WEB連載 帰ってきた「閑話ケア」……ときどき「講演旅行記」(気が向いたら更新)

今年も残すところ、あと2か月ちょっと。実りの秋も盛りを過ぎて自然界は冬支度に入ろうとしている。木々は実を落とし、そろそろ紅葉色に着替える準備をしていて、北国や山では、もうすでにそれが始まっていて、日差しは明るくても空気は冷たくて、人々は、あ、そろそろコートやマフラーの準備をしなくちゃって思う。
そんな秋。
……あれ? そんな秋に、ここ何年も出会ってない気がする。たしかに、米は実り、梨、ブドウ、柿、栗は市場に出回ってはいる。でも、……(続く)
<著者プロフィール>
藤本裕明(あさか台相談室)
分類学上は霊長目ヒト科の♂。立場上は一応、心理カウンセラーに属する。自分の所の他、埼玉県川越市の岸病院・さいたま市の小原クリニックなどで40年以上の臨床経験があるが、年数だけで蓄積はおそらく無い。むしろ、蓄積より忘却が増している気がする。
なんと、福井県からお声がかかった! これで24番目になるので、実現すれば講演旅行訪問地が全都道府県の過半数になる! 来年2月なので、それまでは山道歩いて転んだりしないで、何とか健康を維持しなくては。次の目標はいよいよ全国制覇―なんて面白がって言う方もいらっしゃるが、2011年の連載開始からざっと15年かかっての24番目である。さらにあと15年…。(著者より)
【情報BOX】おすすめWEBサイト

障害や病いとともに生きる看護学生と看護職のインタビューを収録した「障害ナースの語り」を公開
認定NPO法人健康と病の語りディペックス・ジャパンは、2025年4月、障害や病気を抱えながら看護を学ぶ学生と看護職として働く人々のインタビューを収録した11番目のプロジェクトである「障害ナースの語り」を公開しました。
情報BOX【映画】はだしのゲンはまだ怒っている

『はだしのゲンはまだ怒っている』公式サイト
https://gen-angry.jp/
★11/14(金)より[広島]サロンシネマ
★11/15(土)より[東京]ポレポレ東中野
ほか全国順次公開
【アメリカに真正面から怒り続ける 少年ゲンとは?】
〈ものがたり〉
アメリカが広島に落とした原子爆弾で被爆し、家族を失った少年ゲンが、貧困や偏見に苦しみながらも力強く生き抜く姿を描いた漫画「はだしのゲン」。主人公のモデルは6歳で原爆を体験した作者の中沢啓治さん自身です。「週刊少年ジャンプ」での連載が始まった1973年から半世紀、25か国で翻訳出版され、2024年には漫画のアカデミー賞とも呼ばれるアメリカの「アイズナー賞」を受賞。手塚治虫さんや宮崎駿さんらに続き、殿堂入りを果たしました。しかしいっぽうで近年は、「描写が過激」「間違った歴史認識を植え付ける」などと、学校図書館での閲覧制限を求める声が上がったり、広島市の平和教材から消えるなどして、大きな議論を呼びました。なぜ、いまなお一作の漫画がこれほどまでに私たちを熱くするのでしょう?
〈作品情報〉
〇出演
中沢ミサヨ 神⽥⾹織 渡部久仁⼦ 江種祐司 阿部静⼦ ⼤嶋賢洋 アラン・グリースン 後藤寿⼀ 平岡敬 ⼭本加津彦 ⼩⾕孝⼦
〇企画・監督・編集:込山正徳
〇プロデューサー:高橋良美 木村利香
〇共同プロデューサー:大島 新 前田亜紀
〇音楽:茂野雅道
〇制作:東京サウンド・プロダクション
〇制作協力:ネツゲン
〇宣伝協力:リガード
〇配給:アギィ
〇製作:BS12 トゥエルビ
2025年 | 日本 | 90分 | DCP | ドキュメンタリー | © BS12 トゥエルビ
広島県知事推奨 文部科学省選定
情報BOX【本】

著者:湯浅正太/サイズ 四六判/ 216頁/2,200円(税込)/ミネルヴァ書房
多くの人々が生きづらさを抱え、人とのつながりが希薄になりつつある現代日本で、子育てに本当に必要なものは何だろうか。本書では、「縁」「つながり」を意味する古語「ゆくり」を軸に、親子・夫婦・親と社会のゆくりを見つめ直す。ゆくりを軸に置いた、子どもの心を育てるための基本方針「ゆくり学」を提案する。子育てに悩みを抱える「あなた」に、数多くの親子を導いてきた現役小児科医が「ゆくり」の秘密を伝えます。
- 数多くの親子の支援にたずさわってきた現役の小児神経科医が、親子のつながりを深め、子どもに愛情を注ぐ方法を教えます。
- パート2では、子どもの具体的なエピソードを物語形式で描き、「ゆくり」を通した解決のヒントを伝えます。
- 子どもの豊かな心の育ちと親子の幸せのため、子育てに悩みを抱えるすべての親御さんに読んでもらいたい一冊。
情報BOX【本】

編著者:西尾雄志、齊藤ゆか、高見大介/サイズ A5判/ 224頁/2,750円(税込)/ミネルヴァ書房
ボランティアに興味がない人も対象に、「利他」について考え、従来のボランティア学の射程を広げる。実践のためのノウハウ、悩み解消法や自己評価法も伝授し、将来実現可能なライフ・イノベーションを展望する。
- 理想は「思いがけず利他」
- ボランティア活動における不安・不明・疑問を解消する方法
- クドバスをもちいて、ボランティア活動を自己評価
- 学生に考え、書かせ、ディスカッションさせる「ワーク」の充実
情報BOX【本】

『看護職・子育て支援者のための 家族のレジリエンスを高めるワークショップ実践ガイド』
編著者:戸部浩美/サイズ B5判/ 168頁/3,080円(税込)/医学書院
子育てに携わる専門職(保健師、助産師、看護師、保育士、児童福祉司、養護教諭、教員など)が、自分がファシリテーターとなってワークショップを運用するためのガイドブックです。専門職の最低限のリードによって参加者が主体的に学び合うことができ、アンガーマネジメントやマインドフルネスのエッセンスを盛り込んだ楽しいワークがたくさん解説されています。
- 第1部
さまざまな運用事例が紹介されています。また、著者が共同開発した「養育態度尺度日本語版(PSDQ-J)」が収載されていますので、参加者はもちろん、ファシリテーター自身の子育てスタイルの特徴が確認できます。 - 第2部
ワークショップ運営の際に、ファシリテーターが話すセリフをそのまま文章にしているので、本書を読むとワークショップを体験している感覚が味わえます。
配布資料や掲示スライド、音声ガイド等をWEB付録としてご覧になれます。付録は全てダウンロードできますので、ワークショップ運営にぜひご活用ください。















