フランスの親子まるごと支援
第10回
子どもが開花する環境をつくる
もくじ
WHOは2012年にウェルビーイングを「良い心身の健康状態、頼れる人がいること、家族の安定性、周りの人を信頼できること」と定めている。子どもの権利条約にもフランス語訳には「ウェルビーイングに必要なケアや医療を国が保障する」とある(日本政府訳は「福祉に必要な保護及び養護を確保する」)。ウェルビーイングはフランス語で「bien-être(良い、在る)」という言葉で子どもでも日常的に使う身近な言葉だ。逆は「mal-être(悪い、在る)」で、無口だったり勉強に集中できなかったり意地悪なことをしたりといった状況を指す。大人たちは子どもについて「悪い、在る」が観察されたとき支援をスタートさせ放置しない。成績よりも心理的健康の方が大事であるという取り組みは2011年より一貫して続けられてきており、3歳以上の子どものウェルビーイングの状況について国立保健機構が調査もしている。
フランスで教育の目的は「開花」である。花が開くことができるように環境を大人が整えるというイメージだ。「自立」という言葉も日仏で使われるが、その道のりは違って語られる。日本では経済力を身につけ自分でできるようになること、フランスでは自尊心が十分育ち、自分の関心があることを見つけるというステップがあった先の仕事や暮らしと考えられている。

「ウェルビーイングとは、両親が幸せじゃなくても自分が幸せでいられること!」
絵:PAVO
ウェルビーイングのための取り組みは胎児のときから始まっている。それは、本連載の前回に書いたとおり、胎児のときの心理的社会的環境が子どもの育ちに大きく影響するからである。前回の「子どもにとって必要なこと」は子どもを取り巻く環境において必要な要素である。「関係性と愛情」は安全にとって重要な要素なので特に必要で、その先に「経験を重ね冒険し世の中を知る」「自尊心と自身の価値を認められること」「枠組みとルール」「アイデンティティの形成」がある。つまり、関係性と愛情が育っていないうちから枠組みとルールやアイデンティティの形成は難しいということになる。日本では不登校の際に個別学習などグループ活動を減らした時間の過ごし方が提案されることがあるが、フランスでは関係性は重要な要素だとして、子どもがグループの中で居心地よく過ごしコミュニケーションできる能力を育てている。
フランスで子どものウェルビーイングのために大人たちが工夫していることとして、胎児のときからの環境整備、「子どもにとって必要なこと」、さらに「心理的社会的教育」と「市民教育」がある。今回はそれらについて紹介する。
胎児期から幼少期
フランスでは、妊娠4か月までの妊娠初期面談が産科病院側に義務づけられている。そこで妊娠中の女性に社会面、心理面でサポートが必要ないか面談し確認する。パートナーとの関係について気になるときには病院での家族セラピーなども提案される。妊娠中の検査も出産も無料なので、当然心理ケアなども産科病院から提案されるものは無料である。この際重要なのは、本人の申告や相談をもとにするよりも、専門職が心配なサインに気づいてサポートを実施することだ。相談することが妊婦側の義務ではなく、見つけてサポートを届ける義務は専門職側にある。サポートの必要性を確認するための以下のツールを用い、全てを1回で聞こうとするのではなく、妊婦が話したいことを十分話せるようにすることで必要な際は複数回会い、出産までに十分なケアと準備ができるようにする。
特にニーズの高い妊婦には病院で保健センターの助産師が対応することで、地域での継続的なケアも同じ人が担えるようにしている。
実際に毎週心理相談に通うようになる妊婦もいる。対応する心理士兼ソーシャルワーカーの自慢は「自分の担当した妊婦の赤ちゃんは生後調子がいい」ということだ。つまり、妊娠中に妊婦のケアをすることで赤ちゃんのケアもしていることになる。前回も示したように、脳幹に近い睡眠や感情は主に胎児のときに形成されている。フランスでは薬局で近隣の開業助産師リストをもらえるので、妊娠中から産後まで同じ人にいつでも話を聞いてもらえる。日本の保健師も近い役割を担っているのではないだろうか。新生児の心理状況も当然確認し、心配がある場合は自宅に帰さず親子の入院を継続し、父親は病院でテレワークするなどサポート体制を整える。新生児、赤ちゃんの心理についての確認シートの和訳も筆者の公式サイトで無料公開しているので活用してほしい。
産後は48時間以内に小児看護師か助産師が健康保険から派遣され自宅に来ることになっている。それもたっぷりと1時間、たくさんの話をする。私はフランスで娘を出産したとき、退院時の処方箋に「必要がある限り隔日で助産師訪問」と書かれていたので、専門職が10日間隔日で5回、自宅に来てくれました。その後は保健センターに3日に1回、しばらくたつと1週間に1回と通って赤ちゃんとの新しい生活についてさまざまな話をした。保健センターには小児看護師、小児科医、心理士、パートナー間アドバイザーなどがいる。
保育園はニーズが高い人から優先で子どもが生後2か月半から預けることができるので、当時30代で大学院生だった私は出産後3か月で娘を保育園に預けることができた。そこでも常勤の看護師、幼児エデュケーター、子どもの発達と関心に合わせた遊びを提案するアニメーター、小児看護補助、幼児支援員資格などを持つさまざまな専門職がいて、多角的な視点の中で子どもが育ち、さらに週1回、半日ずつ心理士と医師が来て子どもたち全員の様子を見ていた。フランスでは集団の保育園より有資格者の自宅で2~3人をみるスタイルの方が多いが、いずれも保健センターの児童保護専門医が子どもたちの育ちを確認している。
育ちに心配があるとき、障害の可能性があるときなどは保健センターが両親とやりとりすることで、保育園は親子が安心して通える場所にするという役割分担をしている。
3歳からの心理的社会的能力に関する教育
3歳からは義務教育だが、一番最初の学期のシラバスに「子どもが好きな絵本や絵をみんなの前で紹介し、なぜ好きか説明し、反対意見に反論できるようになる」と書いてあったことは印象的だった。つまり、コミュニケーション能力を育てている。
心理的社会的能力は、そもそも学校にいる大人たちが身につけて、授業や日々の関わりを通して子どもたちに伝えられることが求められているが、心理的社会的能力の授業も年間10時間が義務付けられている。日本でも文部科学省は次期教育振興基本計画の中で社会情動的スキルの育成が重要と記しているが、時間数が確保されているわけではない。フランスでは看護師がそれぞれのクラスで行った内容を確認し、教育委員会に届け出る。小学校までは担任がすることが多いが、看護師や、外部の民間団体を呼ぶこともあり、市で予算を確保している。
教育省のホームページには、心理的社会的能力を養うために具体的にできる遊びが載っている310ページに及ぶ資料が公開されている。
遊びの一例としてこのようなサイコロゲームがある。
教育省が定める心理的社会的能力の年齢ごとの教育目的として以下の内容が提示されている。
- ●3~6歳
感情を説明する、共感、他者への関心、喜び、自由 - ●小学校
いじめ、子どもに関する法律、尊重、プライベート、インターネット利用、サイバーハラスメント、自己イメージ、体についてなど - ●中学校
自分を知る、自分の感情を知る、自分の持つ力、優れていること、能力について知る、自分のケアをする、学校の雰囲気を改善する
フランスには教材はあっても教科書はないので、授業で扱う内容は細かく指示されていない。先生がクラス、子どもたちの関心や課題に合わせ、教育省のホームページで紹介されているアクティビティ例、参考文献、参考ビデオをもとに内容を組み立てる。
例えば先日小学3年生の娘のクラスで「デカイ足じゃまだよ!」と言った生徒がいたらしい。その場で先生は
「意地悪は何のポジティブなものも生みません。共によりよく生きるにはお互いポジティブな関係をつくる能力が必要です。相手の良さを伝える練習が足りていないなら今からしましょう」と言い、クラス全員の名前を紙に書いてクジ引きをし、それぞれ順番に自分の引いた名前の人の「人間的な良さを表現し」、言われた人は「良さを受け取る」練習をしたそうだ。
日常の中でニーズに気づき、臨機応変に日々教育的機会にしていくこと、それが子どもの安心な環境につながっているのではないだろうか。
心理的社会的能力を養う場は学校のみならず課外活動や家庭も含む。例えば、娘の小学校ではスクールカウンセラーが子どもたちに共感性やストレスについて話す機会を持ったあと、オンラインで親たちに同じ内容を話してくれる。親向けは月1回程度だが、あらためて親として子どもとの関わりを考え直す時間になるし、子どもが習った内容について話す機会になる。スクールカウンセラーはフランスの多くの学校でフルタイムではないため不十分であると批判されている。しかし、このような形で「親をする」にあたって有益な知識を提供し、親が日々、より良い対応を子どもたちにできるような工夫がなされている(親向けの発信は義務ではない)。
コロナ禍では、フランスでも子どもたちの心理的健康が心配され、10の省が心理的社会的能力を養うことの重要性を認識し、社会全体として取り組むことを広く告知した。学校の課題として、学校での成績が子どもの価値であると誤解されるリスク、価値が高い人と低い人がいるという誤解を招くリスクがあった。そのため、成績の付け方は本人が以前に比べどのように前進したかという評価にした。そして、学び方はそれぞれ違うため、自分にとって合う学び方を見つけられることを重視した。学校は「自分が成功するための戦略を立て、そのための方法が得られる場所」とされた。実現のためには子どもの様子をしっかり大人が観察し、それぞれに適した方法を一緒に探すことが求められる。教員たちの中には負担が増えたと反発する人もいる。フランスの小学校は21人学級が基準になっているが、特にニーズが高い子どもの多い地区では10人学級も増えてきている。つまり、子どものニーズに応えるためにDXではなく人による個別の対応を増やす方向性にある。
アタッチメントが重要な要素であるため、幼稚園から小学校の終わりまではクラス替えをしないか一部の入れ替えのみにしたり、先生を2年ごとにしか替えなかったりする。そして、中学からは選択授業が多い。
フランスでは、不登校の背景には、自分の感情を自分で解決できないと感じ、不安感が大きくなる状況があることが多いとされている。だからこそ、自分の感情を表現でき、分析でき、解決できる力を3歳のときから育てようとしている。考える力や自分のために行動する力が育てば、困難があっても乗り越えやすくなる。
心理的社会的能力は日本語で性教育と呼ばれる「愛と関係性と性に関する教育」の土台もなしている。こちらは3歳から毎年3回授業をすることが法律で定められている。自分をよく知っていたらNOと言うことができ、他の人に敬意を持って接してもらうことができる。自分を知らない限り同意はできないのだ。だからこそ、心理的社会的教育が性教育の土台になっている。

『NO! と言えるようになるための絵本』(ゆまに書房)
教育省のWebサイトには「自分を知り、自分の体とともに生きる」「他の人と出会い、関係性を築き、開花する」「社会の中で自分の場所を見つけ、自由に生き、責任について知る」という3つのカテゴリーについて3歳、4歳、5歳と別個に目標が定められている。例えば3歳については以下のようなことが書いてある。
- ・自分の同意を知り、表現し、拒否をする。他者の拒否を受け入れる。
- ・女男平等を理解し、自分らしくいることの自由について知る。
- ・自分の感情を理解し、分析し、解決する。
- ・自分が頼りにできる大人と子どもを区別できる。自分の喜びも苦しみも受け止め、解決のための動きをしてくれる大人を見つけている。必要なときに助けを求めることができる。
- ・家族の違いを理解し、尊重できる。
心理的社会的能力についての授業は高校まで続き、大きくなると「自分らしく生きられるための社会条件について考える」という内容まで発展する。
現在、心理的健康レスキューの研修を受講している職員が各学校に最低でも2人ずついるよう取り組みが進められ、不登校、家庭での問題、トラウマなどについて学び、子どもがウェルビーイングでない状況のサインに気づき支援につなぐことができる人をつくろうとしている。しかし、実際には看護師、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーのフルタイム配置が多くの地域で実現せず、専門職配置を曖昧にしたまま教員などが心理的健康レスキューの研修を受ける現状があり、責任を曖昧にしていると批判もある。
市民教育
フランスの学校では「モラルと市民教育」という名称で授業がある。例えば小学1年生では「自身を知り心理的社会的能力を高める」「グループや社会の中で生活するということ、正しい・正しくないの判断、子どもの権利条約」「民主主義の文化をつくる」などの項目がある。小学生は年間36時間、週1時間の計算になる。うち、30分は日常の状況について口頭で意見交換する時間にあてるよう決められている。
市民教育がウェルビーイングにおいて重要な要素であると考えるのは、社会課題を小学1年生から扱っているからである。教材を見てみると、暴力、差別、いじめ、競争、戦争、失業、消費、環境問題、依存症、栄養、心理、安全、子どもの権利などのタイトルが並んでいる。テーマについて問題と思う状況を子どもたちがあげていき、なぜ問題なのか考え整理し、解決のために自分たちに何ができるか考える。子どもの権利に関する学習も、目的は「矛盾に気づき批判的な分析ができるようになる」ことである。
社会課題について知り、考える練習をしていれば、自分が嫌な思いをしたときに「これは暴力だ」「これは差別だ」「権利侵害だ」と気づくことができる。そうすれば「自分がもっとどうすれば嫌な思いをしないで済んだか」と自分に責任を求める思考になりにくく、相談し、解決を目指すことがしやすい。自分を取り巻く環境を自覚し、その中で自分が悩んだり嫌な思いをした理由の理解を試み、解決できる。個人に責任を求めることは社会的に無責任な行動だ。理解し解決することを大人が支える、この繰り返しがウェルビーイングが守られる環境に貢献するだろう。
デュルケムが「自殺の原因は個人ではなく社会的要因である」と発表したのは1897年である。社会的要因であるからこそ、自殺を防ぐための社会政策を模索できる。そこから100年以上経ってもいまだに日本で子どもの不調を個人の原因にし続けているのは、「社会の皆で解決しよう」という責任を大人たちが放棄している状況があるからではないだろうか。歴史学や社会学からの学びを、現代社会の課題を解決するという目的で子どものうちから活かせたら、より良い社会をつくる一人の人間としての成長ができるだろう。自分の身に何かが起きても、解決していけるという安心感が育つだろう。
例えば小学3年生の筆者の娘が、学校で第二次世界大戦について学んで帰ってきたときに話していた中で以下のような点が印象に残った。
- ・他者性(altérité)という概念が大事。ナチスのように他の文化や宗教を排除するということなく、違いを認め尊重する社会をつくること。
- ・命令に従わず抵抗運動をした人たちがたくさんいた。ユマニテ(人間性)を守るため。
- ・ユマニテ(人間性)への罪という概念が初めて生まれた。
- ・フランスを守るためにセネガル人やアルジェリア人やマダガスカル人たちが戦いや労働に連れて来られ、命を落としたり帰れなかったりした。フランスのために連れて来られた背景がある人たちがフランスで平等に暮らせているだろうか。
- ・戦争の反省としてEUをつくった。国同士が共に生きる、違いの中で団結するという考え方。国同士が力を合わせていく、そのために国際的な単位交換や学生が他国で学べるエラスムス制度などを作った。
戦争が起き、日本の軍事強化のニュースがフランスでも流れる中で、歴史をもとに現代について話し合う学びが繰り返されることが、ただ不安感に圧倒されるままではいない暮らしにつながるのではないだろうか。
より良い社会をつくる「市民」の教育はきっと家庭や地域でもできる。さまざまな場所で大人と子どもがより良い社会について語り合う機会をつくれるだろう。歴史学、哲学、社会学、法律学、経済学など、これらの社会科学を、子どものときから、いま生きる社会を理解し、前向きに生きる道具として学ぶことで、より良い社会を築く人間が育つだろう。それは大人たちで力を合わせればできることではないだろうか。
問題を解決まで見届ける
自分を取り巻く世界が安全だと感じて暮らせるためには、問題が起きたときに大人が解決まで必ず見届けることが必須だ。例えば筆者の娘が小学2年生のとき、初めて「学校に行きたくない」と言った。かかりつけの小児科医は30分間1対1で娘の話を聞き、学校に対し診断書を書き、学校と教育委員会に同時にメールで送るように言った。小児科医に話を聞いてもらった娘は、学校でも話を聞いてもらえるだろうと学校に向かった。子どもの発すること一つ一つを、自分の気持ちを受け止め動いてくれる大人への信頼感を得る機会にしていけたら、最低限の安全を確保できるのではないだろうか。フランスは国でいじめ予防のプロトコルをつくり、SOSをそのままにしないよう求めている。加害者へのケアも行う。
娘が日本の小学校に通ったときに
「私の見たアニメやお話では必ず、意地悪した人やそれを見て笑っていた人たちが謝って、意地悪された人が笑って生きられるようになる。でも日本の学校は違う。意地悪な人が笑っていて、意地悪された人が学校に来なくなる」
と話していた。
子どもがSOSや調子の悪さを発するたびに解決まで大人が見届けきることの繰り返しが大事だ。
近年のフランスのいじめ対策について
エデュケーター研修 「いじめの予防と対応」
(国際こども家庭福祉研究会)
フランスの義務教育では、月2日以上の医師の診断のない欠席があると、学校は子どもの状況を確認し、改善の方策を立てなければいけないことになっている。つまり、放置されない。子どもの権利を学校側が保障する役割を担っている。塾や受験はなく、大学、大学院、専門学校の授業料は無料であり、偏差値もない。成績や進路を理由に自殺した若者には会ったことがないとフランスの児童精神科医たちは言う。
さらに、予防的に専門職が子どものウェルビーイングを守っている。例えば娘は姿勢が悪いと小児科医が指摘し、運動療法が15回処方された。生理が重い子どもには子宮内膜症や卵巣嚢腫の予防のケアが行われる。日本ではこれらが親次第になっているが、子どもの権利として届けられるようにしたい。
子どもが開花する環境をつくる
子どもに関する判断をするときに「子どもの育ち、開花の目的を達成するものだろうか」と毎度問い直す必要がある。社会の未来は子ども一人一人がつくる。それゆえ、フランスでは従順さではなく、幸せで開花した大人を目指している。娘の学校のWebサイトに掲げられているのは「批判精神とクリエイティビティを育て、それぞれの潜在力が発揮できることを目的とした教育」とある。一方で私の出身である日本の小学校のWebサイトには「進んで学習し、真面目に働く子。健康で明るい子」と書かれている。大人が望む子ども像だ。
例えば、運動会の種目は子どもたちが選び、出たい人が出る、というのはどうだろうか。それぞれが楽しんで参加できるメニューがあるよう工夫するのが大人の役目だろう。全員参加の団体競技は参加する子どもの楽しさよりも指導者の達成感を目的としていないか。逆上がりができなくても他の好きなことが見つかれば良いのではないだろうか。学校が自分の好きなこと、得意なこと、学び方が見つかる場所になればいい。フランスの子どもたちは体育の授業でしたいことを子どもたちと先生で話して決めている。しかし一方で、日本のように体育で幅広い種目を経験することはできないし、音楽でたくさんの楽器を触る機会もない。たくさんのものを経験できるようにする日本の学校の良さを生かし、いくつもの種目から好きなものを選んで好きなだけ取り組める、そんな豊かさは実現できないだろうか。
ウェルビーイングは、一日の始めに調子のチェックをしたり、ヨガの時間をつくるくらいの小手先の工夫で得られるものではない。安全が確保され、「子どもにとって必要なこと」が整い、必要な情報や教育を受けられる機会があり、子どもが開花するのを大人たちが温かく支える環境の中で実現するものだろう。
以下は子ども向け絵本の中にあった内容だが、このような生きる意味の豊かさについて話すことも大事だろう。
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子どもがウェルビーイングの状態になかったら、子どもを治療するのではなく、社会を治療するべきである。大人たちがより良い社会を目指し、つくることができる。
【参考】
-
・心理的社会的教育
https://eduscol.education.fr/3901/developper-les-competences-psychosociales-chez-les-eleves -
・性教育
https://eduscol.education.fr/2083/mettre-en-oeuvre-le-programme-evarevars -
・市民教育
https://eduscol.education.fr/2708/enseignement-moral-et-civique-cycles-2-3-et-4 -
・時間割について
https://www.education.gouv.fr/bo/15/Hebdo44/MENE1526553A.htm -
・学校でのウェルビーイングと健康について
https://www.education.gouv.fr/bien-etre-et-sante-des-eleves-12323
https://eduscol.education.fr/4063/agir-pour-favoriser-la-sante-mentale-et-le-bien-etre-des-eleves - ・国立保健機構による子どもたちのウェルビーイングの状況についての調査
https://www.santepubliquefrance.fr/etudes-et-enquetes/enabee-etude-nationale-sur-le-bien-etre-des-enfants - ・Anne-Sophie Chilard, Jean Charles Pettier, 2019,『Les grandes questions philo 1』Bayard Jeunesse.















