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2019年1月号
マイノリティーへの健康支援は保健師活動の中でも重要な位置を占めており、各種障害(児)者、難病患者、医療的ケア児などへの健康支援が全国各地で展開されている。しかし、受刑者に対する健康支援はこれまであまり注目されてこなかった。
現在、刑法犯検挙者の約半数は再犯者だ。2017(平成29)年12月には「再犯の防止等の推進に関する法律」に基づく「再犯防止推進計画」が閣議決定された。同計画内には、受刑者の25%を占めるといわれる高齢・障害者への支援が重点課題の一つとして盛り込まれている。受刑者が高齢、または障害のある者の場合は、体力の維持・向上のための健康運動指導や地域社会復帰後の福祉サービスに関する知識、社会適応能力の習得支援等が求められるからだ。国の再犯防止推進計画の策定から1年がたち、これから地方再犯防止推進計画の策定が求められていく。
本特集では、刑務所の中で保健師が受刑者の健康支援にどのように関わってきたか、また、出所後の地域定着について対象者やその家族に保健師がどのように寄り添い、他職種と連携していけばよいのか、刑務所が置かれている現状や先駆的な取り組みも交えて紹介する。また、特に保健と関わりの深いものとして、女性特有の健康課題や母子保健の問題などもクローズアップしていく。
特集刑務所と地域との連携 保健師は健康課題を担えるか ~女子受刑者の問題を中心に~
◎鼎談 更生支援に求められる保健・福祉の視点
堂本暁子さん(女子刑務所のあり方研究委員会委員長、元千葉県知事)
村木厚子さん(津田塾大学客員教授、元厚生労働事務次官)
名執雅子さん(法務省矯正局長)
○総論 社会を映す女子刑務所─求められる司法と福祉の連携
堂本暁子(女子刑務所のあり方研究委員会委員長、元千葉県知事)
○摂食障害への対応
鈴木眞理(政策研究大学院大学 保健管理センター)
○刑事施設内における子の養育─ 子の最善の利益からの一考察
西田麻衣子(法務省 矯正局 総務課 更生支援室)
○結核担当保健所職員へのヒアリングから示す現状と課題
川崎涼子(大分県立看護科学大学)
○薬物事犯による受刑・触法経験者への対応 ―保健所・民間・地域生活定着支援センターとの連携可能性
大西真由美(長崎大学大学院)
○性差医療の必要性
天野惠子(一般財団法人 野中東皓会 静風荘病院)
○ルポ 栃木刑務所の現場から ◎編集部
・元受刑者を地域で孤立させないために─保健師仲間の皆さまへ
栃木刑務所勤務保健師(伊澤公恵・松本みさ子・大久保美保)
○メッセージ 地域での居場所づくりに期待
鎌田久美子(日本看護協会常任理事)
ひよこ、ホップ、ステップ、ジャンプ!
長田菜摘さん(穴水町役場 健康推進課)
ピープル
三宅晶子さん(株式会社ヒューマン・コメディ代表取締役)
連載
子どもの脳を守る
第5 脳のダメージの回復
友田明美(福井大学 子どものこころの発達研究センター教授)
折れない心 ~レジリエンスの高い人、低い人~
第5回 「とりあえず、3年」の生き方
諸富祥彦(明治大学文学部教授)
ESSAY国際保健
第29回 海外の暮らしと気晴らしと
松田正己
事業脳から脱却しよう!
第5回 復興「事業」は終わっても、復興は永遠に続く
佐々木亮平、岩室紳也
保健師のための閑話ケア
第80回 イノシシの話
藤本裕明
中臣さんの環境衛生ウオッチング
第65回 香害を知っていますか
中臣昌広