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【開催レポート】『虐待予防は母子保健から 指導ではなく支援』著者 鷲山拓男さんオンライン講演会

地域保健2019年5月号から2年間の連載をまとめ『虐待予防は母子保健から 指導ではなく支援』を発行してから3年がたちました。おかげさまで大変多くの方にお読みいただいております。読者の多くは保健師さんだと思いますが、皆さまが何を大事にしてきたか、これから何を大事にしていくのか、自分が求められる保健師として地域で活動できているかなどを考える機会になればと、2025年6月29日に著者の鷲山拓男さんを講師に迎え、オンライン講演会を企画しました。当日は、100名近い方々が参加され、保健師を主体として看護師、助産師、医療職、福祉職、心理職、当事者、ピアサポーター、教員、議員など、多職種の方々にお集まりいただきました。

開催概要

  • 日時:2025年6月29日(日)12時~14時
  • 内容:鷲山拓男さん講演(約60分)、グループワーク(約20分)、グループワークの話題共有と講師からのメッセージ(約20分)、編集部からのお知らせなど(約10分)
  • 講師:鷲山拓男さん(とよたまこころの診療所長・精神科医)
講演「虐待予防は母子保健から ~指導ではなく支援~」(約60分)

地域保健ブックレット『虐待予防は母子保健から ~指導ではなく支援~』をテキストとし、国内において、虐待がどのように問題化され、国の施策としてどう進められてきたかについて、国内外の豊富な論文をもとに解説をいただきました。
そして、母子保健に携わる保健師が持つべき視点、捉えるべき問題点、(介入ではなく)支援すべき対象者などについて、参加者に活動への振り返りを促されました。
また、事例を精神保健の観点で見立てることの重要性や具体的ポイント、保健師の専門性に基づく援助のあり方、児童福祉に配置される保健師の役割などの解説もありました。地域精神科医というお立場として、虐待予防に携わる保健師に大きな期待を寄せておられることが、ひしひしと伝わってくるお話でした。
最後に、鷲山さんは「こども家庭センターができました。母子保健と児童福祉が一体的に支援をします、と。これがうまくいけばいいが、実際はどうですか」と参加者に問いかけました。母子保健が児童福祉に吸収合併されて機能していないところがある。そう鷲山さんは母子保健の危機を訴え、「センターをみんなで、育てていかねばならない」と述べました。
その上で、母子保健と児童福祉双方の業務について十分に知識を持ち、俯瞰して判断できる統括支援員の重要性を指摘、虐待予防に母子保健の視点が失われてはならないことを強調しました。

グループワーク

後半は、参加者同士のグループワークを行いました。希望者のみ5~7人のグループに分かれ、講演の感想、自身の活動の現状や悩みなどを自由に話し合った後、鷲山さんとともに、全員で振り返りを行いました。

参加者からの声(参加後アンケートから抜粋)

  • 「元気が出ました」
  • 「講師の熱意のこもった表現力で(中略)、胸に響いた。保健師の使命、支援の姿勢など」
  • 「保健師の訪問や関わりの有効性が分かり、今までやってきたこと、これからのあり方について、自分の中で方向性が明確になった」
  • 「初心にかえりました」
  • 「保健師さんが役所で現実に困っている事柄が分かり、大変さが分かった」
  • 「保健師というプライドを持って! というメッセージが刺さりました」
  • 「保健師として、予防的に関わる、地域が安心して生活できる場所として(中略)整える、虐待の問題は我々の問題である、ということを肝に銘じたい」
  • 「部署のリーダーは母子保健と児童福祉の違いが分からないまま、政策を考えています。母子保健の役割と保健師活動を組織に理解してもらえるよう声をあげていきたい」
  • 「支援に励みたい」

参加してくださった皆さま、ありがとうございました!

本書(地域保健ブックレット・地域保健バックナンバーの連載)をお読みになったことがある方は、ただいま6月29日の講演会アーカイブ配信をご覧になれます。ぜひお申し込みください。

【もっと学びたい方へおすすめ情報】

参考サイト
  • 親子ヘルサポ(一般社団法人 保健師による親子ヘルス&サポート推進協会)
    事例検討会や講演会など虐待予防に携わる保健師の皆さんに必要な情報をたくさん発信されています。FacebookやX(旧twitter)もお見逃しなく。
  • 子どもの虹 情報研修センター(紀要)
    鷲山拓男さんがご執筆されている以下のPDFをご覧になれます。
    紀要№20(2023)虐待予防のこれまでとこれから 母子保健の立場から
    紀要№17(2019)「虐待の世代間伝達の理解」(講演録)
    紀要№14(2016)講義「虐待ハイリスクケースの親グループ支援」
  • 子ども虐待防止を目指し、医療・保健・福祉・教育・司法・行政などの実践家・研究者が一同に会し、実践経験や研究を交流しあい、わが国の子ども虐待防止についての取り組みの推進を目的としている学会です。鷲山拓男さんも理事のお一人です。2025年度の学術集会は11月15日・16日に北海道・札幌市で開催予定です。
鷲山拓男さんが登壇するイベント・セミナー
虐待予防に関心のある方向けのイベント・研修会・セミナーなど

地域保健ブックレット『虐待予防は母子保健から 指導ではなく支援』のお求めは

★楽天ブックス
『虐待予防は母子保健から 指導ではなく支援』990円(税込)
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地域保健バックナンバーはこちらから

2019年5月号から2021年3月号に連載「虐待予防は母子保健から 指導ではなく支援」を掲載しています。お手元にバックナンバーがある方はぜひ連載とあわせて読み返してみてください。在庫も各号ございますのでご注文の方は東京法規ネットショップをご利用ください。

主催・問い合わせ先

株式会社東京法規出版 地域保健編集部
E-mail:chiikihoken@tkhs.co.jp
電話:03-5977-0353

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