WEB連載

帰ってきた「閑話ケア」……ときどき「講演旅行記」

第8回 講演旅行記-静岡県掛川市・神奈川県横浜市(通算 第137回)

前回の旅行記、愛知県幸田町に2回目に伺ったその翌週の1月28日、私はまた東海道新幹線に乗っていた。2週連続東海道新幹線で往復するなんて、出張族でもない人間にしては、なかなかの珍事。
今回の訪問地は静岡県掛川市。浜松の少し手前だ。掛川は、実は身内が住んでいた事があって、何度も訪ねている。初めての所に伺う事が出来るのも嬉しいが、懐かしい所に呼んで頂けたのも嬉しい。
10月に静岡市にお呼び頂いたが、それと同じ静岡県の保健師長会の研修。今回が初めての参加の方もいらっしゃるようだが、前回参加された方も多い様子。3か月前に聴いた方が、よくもまた聴こうと思って下さるものだ。休みの日曜にわざわざ聴きに来るホドの事を、私は喋っているのだろうか…。
更に、この研修の開催場所が掛川と決まった後、10月の講演をお聴きになった掛川市のH保健師から、以下のようなご連絡があった。
「地域包括ケア推進課の発達相談支援室が開催する研修で、うちの職員にも先生のお話を聞いてもらいたいと思ってしまいました。(地域保健の「保健師のための閑話ケア」だけは、必ず読んでいるという職員多いです。)」
保健師以外も多い職場だけれど読者が多いそうだ。何ともありがたい話。保健師長会の講演翌日の午前中に喋ってくれという事なので、お引き受けする事になった。
その後の連絡係になったのは発達相談支援室長のIさん。この方は休刊前最終号の「オンライン市役所だより 休刊によせて」に投稿もされている。


先週は雨だったがこの日は晴れ。昼前に掛川入りする。

これは駅の北口側。なかなか渋い風情だが、反対側は新幹線の駅らしい駅だ。泊まるホテルもこの日の会場も北口側だったので、北口の写真となった。
昼食を済ませ、ホテルに荷物を預けてから講演前に掛川城に向かう。
途中に再現された大手門。

そして、再現された掛川城の天守が見えてきた。

掛川城の天守は、日本で初めて木造で復元したものだそうだ。先週の岡崎城などのように、外見だけ復元したコンクリート製が多い中、手間もお金もかかるやり方だが、やはりこの方が風情はある。

門を入り、

上った先に天守の入り口がある。

天守の中の階段はどこの天守でも急で、

戦国の世に甲冑をつけたまま上り下りするのは、それだけでも骨が折れそうだ。
見下ろした所に二の丸御殿がある。

こちらは復元ではなく、江戸時代後期の建物だそうだ。
その入り口。

そして内部。

直接、御殿とは関係ないのだろうが、竹の灯籠の展示がきれい。

おっと、気がついたらそろそろお仕事の時間! でも、会場は、歩いて10分もかからない掛川商工会議所。

ナニモノかの像が建っている。

書いてある通り、二宮尊徳であった。知ってますか? 子供の頃は二宮金次郎(金治郎)と呼ばれていて、薪を背負って本を読んでいる像があちこちにあるでしょう。あの子が大人になったのが、こちら。身長182㎝94㎏という、江戸時代には珍しい巨漢の実寸大の像なんだと。
掛川との関係は、ごくかいつまんで言うと、尊徳は農民出身だが、子供の頃からああやって勉強して、農村を豊かにするための経済政策「報徳思想」を唱えたのだそうだ。その思想を広める組織の中枢「大日本報徳社」というのが、掛川城の近くにあって、商工会議所も、この教えを大事にしているらしく、建物を新築した頃に、この像も設置したらしい。
この会場の前からも、掛川城天守がすぐ近くに見える。

今回のテーマは「リーダー的立場のメンタルヘルス 仕事への向き合い方」。喋る前に、お茶やお菓子などのお土産をいろいろ頂いた。よく来た事がある土地なのに知らないお菓子もあった。何故か、南部煎餅もあったが、ご自分がお好きで取り寄せているとか。幸田町では新潟土産をもらったし、そういえば以前、千葉県で北海道土産を頂いた事もある。皆さんの温かいお心遣いの結果だが、どこか面白い。
講演は無事に終えて、一度ホテルに。この夜は、懇親会の予定がなかったので、前から気になっていたペルー料理屋に向かったが、残念、お休みだった。で、もうひとつ、前から気になっていたお店に入り、一人、贅沢な食事。

な~んだ?

この前に肝焼きで一杯やって、大満足! お店の名前は紹介を断られてしまったので、ナイショ。


翌日、ホテルを出て、駅のコインロッカーに荷物を預け、南口側の会場に向かう。慣れた場所で土地勘があるため、施設の敷地内までは迷う事なくたどり着いたが、入り口がわからなかった。外で作業している方にお尋ねして、到着。

早速、Iさんなどとご挨拶。そして、Iさんが、幸田町のU保健師と同様に「地域保健」休刊前最終号を持参、サインしろとおっしゃる…。応じさせて頂いたが…、皆さん、本は汚してはいけませぬ。
講演は、市の「発達相談支援連絡会」の「発達理解ミニ講座」として、「相談業務の変遷と相談のテクニック」というテーマで、1時間半。その前後に長い事お読みいただいているSa保健師や、事務方でご自分でもエッセイをお書きになっているというSuさんなどと少しお喋りをして、記念撮影。

その話を後日、幸田町のUさんに話したら、私の後ろ姿ばかり撮っていて、記念写真を撮らなかったと悔しがっていた(;^_^A
後日お送り頂いたアンケートは、何だかとても好評だったが、それにしても1行目にこんな言葉があったのには苦笑。
「・まさか藤本先生のお話を生で聞ける機会があるとは思わなかったので大感激でした。」
うぅ~ん…、まるで、有名人みたいではないか。
っていうか、Uさんなどは平気で「ファンです!」なんて言ってたし、サインを求められたり、記念写真を一緒に撮ったり、こんなアンケートの記載があったり…。講演先では本当に有名人みたいに扱われる事がよくあって戸惑う。地元では全くない現象。地元のよく会っている保健師たちからは、おそらくただの便利なオジサンと思われていると思う。
私の自覚としては、特に何という事もない一心理職人の前期高齢者に過ぎないわけで、地元の扱いが正しい。だから、本当は遠方から講演にお呼び頂くだけで驚きなのだ。
「地域保健」での長年の連載がすごいって事か? だったら、こんな私の駄文を採用し続けてくれている編集者の方がもっとすごい。

結局は、「地域保健」そのものが権威ある雑誌だったという事なんだろうな。つくづく休刊が残念。


皆さんとお別れして、馴染みの施設に向かう。
「掛川花鳥園」だ。

その名の通り、花と鳥の施設。大きなこの長屋門が出入口になっている。長屋門の中は、受付の他、

こんな風に世界中のフクロウが展示されているスペースと、土産物店がある。そこを過ぎると、

ペンギンなどのプールがあり、その先に巨大な温室が展開する。

実に見事に花が咲いている。1年中、いつ来ても丁寧に管理されていて、温室内とはいえ大したものだ。
ここでは食事をする事が出来て、今回は、ここの有名鳥のハシビロコウ「ふたば」を模した「ふたばバーガー鳥の巣セット」を頂く。

この一角には園芸関係のショップもある。

ちなみに鳥のショップはない。気軽に売られていたら、その方が問題だろう。
食事後、隣の温室に。こっちは鳥だ。

ここは後で紹介するショーもやっているスペースで、その奥にはいろいろなインコなどが自由に飛び回っている鳥好きにはたまらない触れ合いのできる温室がある。

こうやって自由にいる鳥が、エサを買ってそれを示すと…。

こうなる。
フンには注意が必要なので、私も入場時に着替えている。
この温室の全体はこんな感じ。

この広い中を、コガネメキシコインコの群れが集団で飛んだりするのが見ていて楽しい。狭い家の中で鳥を飼っている人は、きっと皆さん、うちの鳥もこうやって飛ばせてあげたいって思うんじゃないだろうか。
さらに奥に居るのが、先ほどのバーガーのモデル、ハシビロコウの「ふたば」だが、この日は飼育エリアの中の小屋の上にいて、下りて来てくれなかった。

なので、数年前の写真でご紹介。
大きさはこんな感じ。

ふたばが立っている所の方が高いが、身長は120㎝くらいかな。かなり大きい鳥だ。動かない鳥として有名で、上野動物園のハシビロコウは、私が見ている間、微動だにしなかった事があるが、ふたばは、割合動く。

飛んだ姿も何度も見ていて、さっきの小屋の上には飛んで行ったわけだ。
時間になるとさっきの場所でバードショーがあり、飼育係と鳥の競演が楽しい。

時に、飼育係の言う事を聞かない事もあって、それも微笑ましい場面だ。
他にもフラミンゴなどの水鳥がいる温室もある。外に出ると大きな池があって、その横には、屋外でのバードショーをする広場もある。

ショーの最中にどこかに飛んで行っちゃって帰って来ないなんていう場面も見た事がある。もちろん、後に帰ってきたようだが。この奥にはエミュー牧場などもある。
という風に、久しぶりに花鳥園を楽しんだ。鳥専門のこういった施設は他にもあるが、わが地元、埼玉近辺にはない。出来てくれると嬉しいが、結構広大な温室や屋外スペースを考えると、都市近郊では難しいかなぁ。
ま、また、来ようと思って、帰路に。鳥好きの方は、是非、足を運んでみて下さいね(*^―^)ノ♪


2週続けて新幹線に乗り、そこから3週間は、普段の生活に戻った。3週間後の2月19日、今度は日帰りで横浜に出かけた。これは横浜市の生活福祉部生活支援課のYさんからのご依頼。
横浜の福祉職の方には2013年(web版 講演旅行記-15 通算第33回過去写真館-③)と2015年(web版 講演旅行記-1 通算第19回)の2回お招き頂き、話しに行った。横浜市は「福祉保健センター」というくくりで、保健師と福祉職の方が一緒に働いている。その関係で「地域保健」をご覧になっていた当時のK係長が、疲弊している生活保護のワーカーさんのために、と企画された講演だった。2回目の時は確か課長になられていたと思う。
その頃まだ若手だったYさんは、2回とも受講されたそうだ。で、将来、自分が企画する立場になったら、是非私を呼びたいと思って下さったんだと。
そしていよいよ今回その立場になられて、私がまだ生きてるか、相談室がとっくに廃業していないか心配しながら調べて、連絡がついた時には安堵されたらしい。私の年齢など細かい事は覚えていなかっただろうから、さぞドキドキされた事だろう。12月にYさんとS係長が打ち合わせに相談室までいらして下さった時に、そんな事を話されていた。
そして2月19日、地元からは乗り換えなしで横浜の「元町・中華街」行きに乗れるのだが、駅に着くと様子がおかしい。東急線内で人身事故のため直通運転を取りやめていたのだ。で、仕方なく池袋に出て、湘南新宿ラインで横浜、乗り換えて「元町・中華街」駅に向かう。
会場は横浜市の南区役所で最寄り駅は「阪東橋」という所なのだが、ちょっと、海くらい見たいでしょ。雨模様だったけど。
なので、海に近いこの駅に向かったのだ。
駅から近くの「港の見える丘公園」に。かなりの高さまで階段を上って、昔のフランス領事館があった「フランス山地区」を通り、

小雨が降ったりやんだりする中を、公園の展望台まで歩く。

あちこち見渡していたら、奇妙なものがある。

あれ、もしかして、有名なアニメに出てくる巨大なロボット戦士か?

間違いない。今、横浜に展示されているとは知らなかった。
山を下りて、元町通りを歩く。

私の生活圏でもよく見かけるチェーン店なども多いのだが、街並みがオシャレ。さすが横浜って感じ。

さて、昼食。横浜、そして、元町・中華街駅で下りたでしょ。中華って皆さんが思うと思って、何と今回は事前に調べたフレンチのお店に。
「ビストロ 山・海・葉っぱ」というお店に入る。有名ホテルの料理長を務めたシェフのお店。

先客は2組の女性グループだけで静か。

「気まぐれランチ」を頂く。

アミューズ。お楽しみっていうような意味で、フレンチのコースの最初の一品の事。ちょっといい居酒屋に行くと「お通し」というのが出るでしょ。それに近いものかな。
ホタルイカってフレンチで初めて見た。

コブサラダ。コブサラダはアメリカ生まれだが、要するに、沢山の野菜や見た通りベーコン、ブルーチーズなどがこれでもかっていうくらいに大皿に山盛りになっていて、これを食べるだけでも相当時間がかかった気がする。ブルーチーズの調味料的な存在感が、実に美味。

にんじんポタージュのカプチーノ仕立て。
これはなかなか上等。カプチーノって、コーヒーのあれ。ミルクを泡立てたのを上にのせているから、冷めないし、ミルクの甘みと人参の相性がとても良かった。
そして、本日はハンバーグがメイン。

まるで料理紹介コーナーみたいになってしまった(;^_^A
講演の前だから、さすがにワインを飲む事が出来ず、誠に残念。最後にコーヒーを頂いてから仕事に向かう。

横浜市南区役所7階の会議室が会場。早目に着いたのに既に来場者が一杯で、Yさん、嬉しそう。市内各区の就労支援専門員のほとんどの方が参加したらしい。
テーマは「こころを軽くするコツ教えます~援助職のためのメンタルヘルス講座~」。今回は休憩含めて2時間半という長時間だが、何とか寝る人が続出する事もなく、終了。
終了後は懇親会のために横浜市役所に行くと。懇親会が市役所? とりあえずYさんとS係長についていけば良いわけで、「阪東橋」駅から「桜木町」に。
そして…。驚きの市役所が現れた!

このビルが市役所だというのだ。3年前に建ったらしいが、私が知る「市役所」とは、完全に別物。
少しずつカメラを左方向にずらしていくと、横浜らしいものが見えてくる。

Yさんたちは、普段、こんな所で仕事をしてるんですね。なんだか、別世界。
皆さんの仕事が終えるまで市役所の一部を歩いたりしながらお待ちして、I課長と4人で2階のお店に。
1・2階はこういった商業施設が入っているエリアだそうだ。入ったお店は地産地消のお店らしく、地元の農家の方の写真が貼ってあったのだが、その中に偶然S係長の幼馴染が写っていて、Sさんもビックリしていた。鹿肉のカツなど、珍しい物もあって、この日は昼も夜も美食であった。市役所の地下が「馬車道」駅とつながっていて、Sさんが時刻を調べ、埼玉までの直通の列車をチョイスして下さり、帰りは乗り換えもせず、無事帰宅。


同じ週の土曜に、本誌とは無関係な講演があって、今年度の講演は終了。
いわゆるコロナ明けになって、7月から13件。9月と12月はなかったので実際には6か月で13件になる。月2件は良いペースだけど、実際にはムラがあり過ぎて…。さあ、来年度はどうなる事か。

著者
藤本裕明(ふじもと・ひろあき)
分類学上は霊長目ヒト科の♂。立場上は一応、心理カウンセラーに属する。自分の所の他、埼玉県川越市の岸病院・さいたま市の小原クリニックなどで40年以上の臨床経験があるが、年数だけで蓄積はおそらく無い。
来年度は、今のところ、岐阜県と千葉県が決まっていて、岐阜県は初。47都道府県中の21番目だ。過半数になるにはあと3府県。個人的に訪れた土地を含めても訪問地はやっと30都道府県を少し超える程度だが、皆さんは、どれくらい行った事ありますか? 横浜市のI課長は確か40超とおっしゃっていた。すごい。
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