【WEB連載】フランスの親子まるごと支援 第10回を公開しました
【WEB連載】
フランスの子ども家庭福祉研究者として幅広く活動している安發明子さんのWEB連載を奇数月の30日に更新しています。本連載では、日本とフランスの子育て支援の違いを知り、日本での課題を共有し読者と一緒に考えるような取り組みにしたいと安發さん。第10回は「子どもが開花する環境をつくる」です。

WHOは2012年にウェルビーイングを「良い心身の健康状態、頼れる人がいること、家族の安定性、周りの人を信頼できること」と定めている。子どもの権利条約にもフランス語訳には「ウェルビーイングに必要なケアや医療を国が保障する」とある(日本政府訳は「福祉に必要な保護及び養護を確保する」)。ウェルビーイングはフランス語で「bien-être(良い、在る)」という言葉で子どもでも日常的に使う身近な言葉だ。逆は「mal-être(悪い、在る)」で、無口だったり勉強に集中できなかったり意地悪なことをしたりといった状況を指す。大人たちは子どもについて「悪い、在る」が観察されたとき支援をスタートさせ放置しない。成績よりも心理的健康の方が大事であるという取り組みは2011年より一貫して続けられてきており、3歳以上の子どものウェルビーイングの状況について国立保健機構が調査もしている。
フランスで教育の目的は「開花」である。花が開くことができるように環境を大人が整えるというイメージだ。「自立」という言葉も日仏で使われるが、その道のりは違って語られる。日本では経済力を身につけ自分でできるようになること、フランスでは自尊心が十分育ち、自分の関心があることを見つけるというステップがあった先の仕事や暮らしと考えられている。
<著者プロフィール>
安發明子(あわ・あきこ)
フランス子ども家庭福祉研究者。ソーシャルワーカー養成校AFRISパリ理事。 立命館大学大学院人間科学博士、EHESSフランス国立社会科学高等研究院健康社会政策学修士、社会学修士、一橋大学社会学学士。 首都圏で生活保護ワーカーとして勤務したのち2011年渡仏。 子どもが幸せに育つための文化の醸成に取り組んでいる。著作『一人ひとりに届ける福祉が支える フランスの子どもの育ちと家族』(2023)かもがわ出版、翻訳書『ターラの夢見た家族生活 親子まるごと支えるフランスの在宅教育支援』(2024)サウザンブックス、『NOと言えるようになるための絵本』(2025)ゆまに書房。
- 安發明子さん公式サイトはこちら
https://akikoawa.com/
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