保健師のビタミン

発達サポート読本

第10話子育ての知恵を佐々木正美先生の著書で

著者は、昭和五〇年から二十年間にわたり、神奈川県の小児療育相談センターで児童精神科の臨床に携わっておられた超ベテランの児童精神科医。本書は同センターが行ったセミナーでの話をもとに書かれています。

タイトルに「0歳児から~」とありますが、子どもの心の発達、母子関係は胎生期からすでにスタートしています。だから、佐々木先生のお話も、赤ん坊が母親のお腹にいる胎生期から始まります。

著者の優しい生き生きとした語り口が本領を発揮するのは、若い保育者たちを相手に語った第三章。私はこの章を読んで、失礼ながら、村の長老が大勢の娘たちを前に教えを説く姿を想像してしまいました。「わしがまだ若い頃、エリクソンという偉い先生がおってな…」

インターネットにさまざまな情報が氾濫する今日、若い世代に子育ての知恵を正しく継承していく方法として、このようなスタイルこそ、新鮮かつ有効かもしれません。

著者
山登 敬之
医療法人社団八月会東京えびすさまクリニック院長
1957年東京生まれ。精神科医、医学博士、日本児童青年精神医学会所属

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