保健師のビタミン

こんにちは、開業保健師です!

第7話相談あれこれ~電話相談や介護の仕事に触れて~

何か新しい対人サービスの経験をしてみたいと感じていた私は、健康雑誌を作っている会社の電話相談やEAP事業・職域健康支援活動を経験しました。

特に電話相談は、大変だったけれどよい経験になりました。それまでは電話は単に連絡するための道具と考えていましたが、今や電話やメールが、身近な人や専門家に直接相談するよりも手軽な問題解決手段に大きく変わってきているということでした。

利用者は、顔が見えないことや費用がかからないという事もあって、気軽に一日に何百件も寄せられます。有名な昼のテレビ番組で何かが取り上げられると一斉にその系統の相談が増えたりと社会の関心事の不思議さを感じました。

相談内容も幅広く、死にたいと電話してくる人から不満の捌け口にする人など、電話の利用方法は様々で、人の悩みや関心は本当に幅広いなと感じました。

顔の見えない相手との交流は本当に神経を使います。心身ともに余裕がないと良い電話相談はできません。また、言葉の選び方や声のトーンなどについて教育や指導を受けました。

声を通して姿勢や表情が相手から見えるというと、そんな馬鹿な!と思われるでしょうか、是非試してみてください。これは従来の教育にはなかった体験で、自分の言葉が相手にどう伝わるかを少し意識するきっかけになりました。皆さん、人と面談するときは、姿勢を正し、是非鏡に向かって"ニコッ"としてからにしましょうね。

もちろんクレームなどショックな経験もしましたが、それも振り返り次回の相談に活かします。

親の介護で仕事をやめるという体験から、介護保険制度の重要性を感じていましたが、健康相談でも電話相談でも介護に関する相談が増加していたので、ケアマネージャー資格を取りました。

ちょうどその時に、新規居宅介護支援事業所(24時間巡回介護)がケアマネージャーがいなくて困っていると、知人保健師からヘルプ要請があり、週一日現場の支援活動を行いました。ケアプラン作成といってもお客様の時間に合わせ面談をするため、時間は夜遅くということもしばしば。

私が病院で体験していたころと違い、急性期を過ぎた患者さんが複数の管をつけたまま在宅へもどってこられ正直当惑しました。

ケアの質が問われる中、介護職員も守らなくてはと、介護職員のための感染症マニュアル作りや疾病に関する教育等を担いました。業務監査も無事通過、後任もきまり、1年でやめましたが、久しぶりに地域の実情に触れ、目からウロコの経験でした。

その後、介護認定審査会の委員を現在まで務めています。介護予防事業が始まり、地域包括支援センターの友人保健師からは超多忙と聞いています。

国立社会保障人口問題研究所の人口将来推計では、2020年には65歳以上が3,500万人をこえ、2025年には生産年齢人口は減少、過半数が65歳以上となるといわれています。

今年の2月、国とインドネシア政府との経済連携協定(EPA)に基づき看護士候補400人、介護福祉士候補が600人が来日、日本語研修の後、看護、介護の教育研修を行い、国内の就労に結びつける計画がスタート。

外国人労働者初の受け入れ事業となり、日本語で国家試験に合格すれば、事実上無期限で在留でき、施設で就労できるということになるそうです。われわれの職域にも国際化の波が訪れそうです。

著者
齋藤明子
看護師として臨床およびグループ企業の診療・健康管理を経験。29歳で保健師学校に進学。卒業後地域保健に3年ほど従事。先輩保健師の誘いで企業に就職。安全衛生健康管理活動および健康増進活動を行う。その後外資との合弁企業に非常勤雇用される。
平成10年ヘルス&ライフサポートTAK設立。個人事業主として活動を開始現在に至る。保健師・産業カウンセラー・労働衛生コンサルタントとして、中小事業場の健康管理体制構築支援、相談活動、介護認定審査会委員、NPO活動等を行っている。

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