保健師のビタミン

環境衛生監視員の視点から

第1話理髪店・美容室の新型コロナウイルス感染防止対策の方法例

2020(令和2)年4月10日のテレビニュースでは、「美容室でクラスター発生か?」の見出しで福岡県内の美容室の従業員や利用客など5人が新型コロナウイルスに感染したことを伝えた。

店の従業員や利用客の感染リスクを下げるため、どんな対処が必要なのか。保健所・環境衛生監視員の視点から、方法例を考えた。できることがあれば、選択してほしいと思う。

ポイントは三つある。

  1. ウイルスを持ちこませない。
  2. 店内で感染を起こさない。
  3. 店外にウイルスを拡げない。
1 営業者、従業員の感染予防

作業の前後でアルコール液等の手指消毒か、石けんで手洗いする。マスクをつける。

2 利用者の手指消毒

利用者の手指にウイルス付着の可能性がある。アルコール液等の手指消毒かウェットティッシュでの手指拭きを、お願いする。蒸しタオル(熱いおしぼり)で手を拭いてもらってもよい。退店時にも、同様にする。
酒のアルコール濃度60%台の高濃度エタノール製品も、手指消毒に使用できる。

手を拭いたあとのウェットティッシュ、蒸しタオル類は、フタ付き容器等に一時保管する。

3 作業椅子等の消毒(利用客ごと)

消毒場所:理美容椅子のひじ掛け、座面、背もたれ、扉等、利用者が触れた場所
消毒方法:消毒用アルコールを含ませた布類で拭く。
アルコール剤がない場合、次亜塩素酸ナトリウム(商品名:ピューラックス等5%液、家庭用漂白剤も同程度濃度)を100倍希釈して、浸して拭く。金属類は、腐食する可能性がある。布類の拭く面を変えながら作業する。

4 完全予約制の導入

待合に人がいない状態をつくる。

5 3密をつくらない
  1. 密閉をつくらない。

    作業室:窓あるいは扉を開け、換気扇を常時運転する。または、1時間に1回、2カ所の窓開け5分間の換気をする。

  2. 密集をつくらない。

    作業室:隣どうしの作業椅子を使わない。

  3. 密接をつくらない。(近接の発声、会話など)

    作業室、待合で、最小限の会話を心がける。

理髪店では、可能なかぎり顔剃り作業を控える。美容室では、体を後ろに倒して流しで髪を洗うシーンがある。顔と顔との距離が近づく場面だ。通常は、ガーゼや紙類で利用客の口付近を覆う。もう少し厚めな物で口と鼻を覆って、洗髪中は話をしない注意が必要だろう。

著者
中臣 昌広
一般財団法人日本環境衛生センター
技術調査役・環境衛生分野担当

保健師のビタミン 著者別一覧へ

ページトップへ