保健師のビタミン

コミュニティをつくる

第9話地域が見えるか

私が活動をしている浅虫地域は人口1500人程度の小さなコミュニティですが、時々刻々と変化をしています。

当NPOでは、今年は平成14年度から実施してきた体験学習を提供するコミュニティスクールを休止しています。市の教育委員会と学校で、放課後子ども教室を昨年度から3年の期限付きの事業で運営しているからです。

それによって、小学生50数名の小規模校でしたが、子どもたちと直接体験学習をする機会がなくなりました。NPOのスタッフの子どもたちも中学、高校と成長して、子どもたちと接することがなくなってきました。そうすると、子どもたちや子どもたちをめぐる家族の生活や、学校の出来事が見えなくなってしまいました。行政とは往々にして余計なことをバッドタイミングでやってしまうんですよね。

今までは子どもたちとの交流から、子どもの親世代である30歳代、40歳代との交流ができ、幅広い世代の人たちの考えや生活ぶりを知ることができました。このようなことを地域づくりの戦略として行ってきたから、地域を見ることができたのです。高齢者だけはコミュニティ・レストラン「浅めし食堂」を通して、密接なお付き合いができているのが救いですが。。。

そんな最近のNPOの活動状況を振り返って思うのは、保健師が、高齢者、乳幼児、児童生徒、妊産婦、障害者と勝手に分類をして担当を決めて仕事をする仕組みでは、地域が見えないのは当然だということです。

人口の規模ではなく、さまざまな世代とのお付き合いなしに、地域を見れるようになる秘訣はないと思うのです。保健師は世代や健康、病気にかかわらず、さまざまな状態の人たちと接してきたからこそ、保健以外の分野ともつながったのだと思うのです。

業務を種別で分類しすぎると、つなげられる分野も狭まってきます。これは何も保健師に限ったことではなくて、地域活動しているすべての人たちに共通することです。

私たちは、今年も小学校と連携した事業は行ってはいるのですよ。田んぼの授業でNPOが協力したり、視察研修では学校に協力してもらったりしています。

しかし、このようなお付き合いでは、子どもたちと本当に交流しているとは言えないと思うのです。交流の場とは決して言えない気がします。

もちろん、まつりやイベントは気分が盛り上がり、一体感も感じて、地域には欠かせないものであります。しかし、それだけでは地域が見えることにはつながらないし、地域を変えていく仕組みを考えることにならないのですよね。

日常の中で、さまざまな世代が交流できる場が必要なのだなあ、と思うのですが、時代が変化し求められるものも変わってきますから、仕掛けも変えていく必要があると思います。

場を作ったからといって、それですべて解決するわけではなく、スタートラインに立ったということだけなのです。そして、活動の場を継続させていくためには、変化をし続ける必要があります。

私たちの活動も転換を求められており、これからの地域づくりを考えなければならない時期に来ています。地域づくりの成功事例として取り上げられたとしても、来年は分かりません。ある意味成功なんてないのかもしれません。悩める日々です。

著者
三上公子
NPO法人活き粋あさむし 事務局長、(株)ヘルスプロモーション青森 代表取締役、医療法人蛍慈会理事、コミュニティ・レストランネットワーク運営委員、保健師、看護学修士
保健師らしい仕事をしたいがために行政の保健師を退職し、フリーの立場でヘルシーコミュニティ形成に奮闘中。
ヘルスプロモーションの活動において、地域住民の立場でコミュニティのしくみを探り、住みよい地域をつくろうと思って活動をしています。

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