保健師のビタミン

コミュニティをつくる

第3話農山村に向かう若者たちから健康の原点を学ぶ

私、早起きできるようになったんです。無理なく気持ちよく継続できているんです。太陽とともに起きるとなると、梅雨入り前の今の時期は4時半頃に起床です。年をとったから早起きになったわけではないんですよ。

日頃、健康づくりの提案の仕事もしている私ですが、何だか頭で考えることばかりで「本来の心と体を見失っているなぁ」と思ったからです。

2頭のラブラドールレトリバーと朝日を浴びながら、里山を散歩して一日が始まります。一日のリズムが生まれました。体が気持ちいいことを覚えていて、体が発する声をちゃんと聞かなくてはという気持ちになっています。

里山と海に囲まれている素敵な所に住んでいるのに、しっかりと夜型生活が身についたままだったのです。

私が健康に関する考え方を見直したいと思ったのには、きっかけがあります。最近、食や農の活動を通して、脈々と伝えられてきた生活の技を伝えたり、教えてもらう活動をしている全国各地の人たちと出会いました。

そして、若い世代の人たちで現代の都市生活に危機感を感じ、地に足がついた生活を望み、田舎に移り住んでいる人たちもたくさんいることを知りました。

若者ですよ、団塊の世代の田舎暮らしじゃないのですよ。青森にいる私にとっては信じがたい話でしたが、本人と話をして驚いたわけです。かわいい雰囲気の女子やイケメンの男子たちです。

そんな人たちとのつながりから、私、保健師なのに自分の体と対話しようともしていなかったし、昔から大切にされてきた生活の知恵も知らないのです。恥ずかしい。マニュアルに頼りすぎることや、数値しか見ないやり方はおかしいと思い、食べることや農業の活動をしてきたはずだったのに、何をやってきたんだろう。

塩分控えようって言ってきたけど、昔ながらの海水から作られる塩はミネラルが豊富で、悪者扱いするのはいけなかったなあと思います。醤油だって、味噌だって日本の優れた発酵食品であり、もっと尊重しなければならないと思います。

どういう材料で、どうやって作るかが問題なのです。都会の若者には手作りでの味噌作りが流行っているみたいですよね。

自分の体が発している声を聞くことができたら、私たちが生活している環境のことも真剣に考えることができます。私たちは効率を追及するあまり、体に必要な食べ物を変化させ、失ったものが少なくありません。

この日本の風土で作られてきた食文化は、長い年月をかけて伝えられてきた究極の健康技です。

著者
三上公子
NPO法人活き粋あさむし 事務局長、(株)ヘルスプロモーション青森 代表取締役、医療法人蛍慈会理事、コミュニティ・レストランネットワーク運営委員、保健師、看護学修士
保健師らしい仕事をしたいがために行政の保健師を退職し、フリーの立場でヘルシーコミュニティ形成に奮闘中。
ヘルスプロモーションの活動において、地域住民の立場でコミュニティのしくみを探り、住みよい地域をつくろうと思って活動をしています。

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