保健師のビタミン

キーワードに学ぶヘルスプロモーション

第2話足型ピンでヘルスプロモーション

コンドーム柄ネクタイには7mmほどの足型のネクタイピンが。
「これ何だと思う?」という質問に、きょとんとした顔で「足でしょ?」と答える女の子。

「これは赤ちゃんの足形だよ。妊娠何週目くらいか判る?」と聞くと、ほとんどが「妊娠1~2週くらいかな?」と答える。
「。。。保健体育の先生はいったい何を教えているのか!?」と出そうになる文句を抑えて、「妊娠10週目だよ。小倉さんという素敵な女性が岩室にくれたんだ。彼女は望まない妊娠や中絶手術を受ける人を一人でも減らせればと思って活動している人だよ。」
「中絶手術を受ける胎児の足はこんなに小さいんだ。その命をつなげないなんて、悲しいことだよね。」

『コンドームを使えば中絶手術を減らせるってことをコンドーム柄ネクタイとセットにして伝えて下さい』と小倉さんにから渡された足型ネクタイピン。

実は性感染症やエイズ予防を訴えてもリアリティがなく、関心がある人以外には響かない。それがエイズ予防をやっている人たちに共通した悩みだ。

しかし、妊娠や中絶は若者たちの一大関心事でもある。

視点を変え、切り口を増やすことで結果的に目的が達成できればそれでOK。性の健康に関するヘルスプロモーションのための協働を広げることができた事例の誕生である。

今週のキーワード:ヘルスプロモーションのための協働

著者
岩室紳也
ヘルスプロモーション研究センター主催
民間公衆衛生医、小児泌尿器科医として活躍中、様々なアイディアでヘルスプロモーションに尽力している。

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