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特定健診データの保険者間移動の本人同意について議論《第35回 保険者による健診・保健指導等に関する検討会》

11月13日、厚生労働省の「第35回保険者による健診・保健指導等に関する検討会」(座長=多田羅浩三日本公衆衛生協会名誉会長)が開かれ、保険者間のデータ引き継ぎにおける本人同意の扱いが議論となった。

現在、マイナンバーカードを保険証として利用できるようにするため、オンライン資格確認等システムの構築が進められている。ここに特定健診などのデータを収め、マイナポータルを通じた経年データの閲覧とともに保険者間のデータ引き継ぎが可能となるように、システムを改修中だ。

特定健診のデータの移動ついては、高齢者の医療の確保に関する法律で「新保険者は旧保険者に加入者の特定健診データ等を求めることができ、求められた保険者は当該データを提供しなければならない」とされている。一方、省令ではデータ移動時には新保険者、旧保険者のいずれかが本人の同意を取得することを求めているため、保険者がかわるたびに同意をとる必要が出てくる。

この日の検討会で、今村聡構成員(日本医師会副会長)は、本人同意は保険者がかわるたびに必要なのかを事務局に確認、個人的な意見として「最初に医療保険に加入するとき、包括的な同意ということで一回同意をとればよいのではないか」と話した。これに対して事務局は「省令では保険者を移動するたびに本人同意が必要となるが、オンライン資格確認等システムは限られた人しか見ることができない(個人情報は保護される)ので、それが導入されることを前提に省令の在り方も含めて検討会で議論してもらいたい」と答えた。多田羅座長は「個人情報は一対一の概念であるのに対し、健診データは膨大な数を扱うため、いちいち確認をとっていたら社会の運営ができなくなる。個人情報保護は大事だが、健診データに関しては(同意をいちいちとらなくても)保険者間の移動を可能とするという判断もあるような気がする」と見解を述べた。

こうした議論の中、三重県津市長の前葉泰幸構成員(全国後期高齢者医療広域連合協議会副会長)は、本人同意の参考事例として、災害時の避難行動要支援者名簿作成に関する津市の条例を紹介した。災害対策基本法では避難行動要支援者名簿を作成するときに本人同意が必要であるとしているが、条例で定めがある場合を例外としている。そこで津市では「本人が不同意の場合のみ申し出る」という逆手上げ方式を条例に盛り込んだ。その結果、名簿登載率が同意を取りに行っていたときは27%だったのが95%まで上がったという。本人同意に関する議論については慎重に進めるべきだとの意見もあり、結論は次回に持ち越しとなった。

 

 

 

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