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「健やか親子21(第2次)」の中間評価等に関する検討会で報告書案

8月30日、厚生労働省の「第3回『健やか親子21(第2次)』の中間評価等に関する検討会」が開かれた。最終回となる今回は報告書案が提示され、活発な議論が交わされた。報告書の確定版は、近日中に公表される。

健やか親子21は2001(平成 13)年に始まった21 世紀の母子保健のビジョンを提示する国民運動計画。第1次は14(平成 26)年に終了し、15(平成 27)年度から24(令和6)年度の10年間は第2次計画期間となっている。中間年に差し掛かかった今年、「『健やか親子21(第2次)』の中間評価等に関する検討会」がスタートし、6月から2回にわたり中間評価に向けた議論を重ねた。この日は、事務局から提示された中間評価の報告書案を叩き台に意見を交わし、最終的なとりまとめは座長預かりとなった。

報告書の構成案は以下のようになっている。

第1章 健やか親子21(第2次)の策定の趣旨と概要
第2章 中間評価の目的と方法
第3章 中間評価の結果
1 概要
2 課題毎の評価
(1)基盤課題A 切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策
(2)基盤課題B 学童・思春期から成人期に向けた保健対策
(3)基盤課題C 子どもの健やかな成長を見守り育む地域づくり
(4)重点課題① 育てにくさを感じる親に寄り添う支援
(5)重点課題② 妊娠期からの児童虐待防止対策
第4章 最終評価に向けた指標に関する整理
1 指標名の変更・最終評価目標の再設定について
2 新たに追加する指標について
第5章 中間評価の総括と今後に向けて

《参考資料》
1 「健やか親子21(第2次)」指標の体系図
2 指標毎の評価
3 「健やか親子21(第2次)」の取組状況(<健やか親子 21 推進協議会>調査結果)
4 「健やか親子21(第2次)」の中間評価等に関する検討会 開催要綱
5 「健やか親子21(第2次)」の中間評価等に関する検討会 構成員名簿
6 「健やか親子21(第2次)」の中間評価等に関する検討会 開催状況

健やか親子21(第2次)の概要と中間評価の方法

「第1章 健やか親子21(第2次)の策定の趣旨と概要」では、健やか親子21(第2次)の趣旨とともに、構成要素である基盤課題と重点課題について解説している。基盤課題は、基盤課題A「切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策」と基盤課題B「学童期・思春期から成人期に向けた保健対策」、それを下支えする環境づくりとしての基盤課題Cから成る。重点課題はこれら基盤課題の取り組みを一歩進めたもので、重点課題①「育てにくさを感じる親に寄り添う支援」と重点課題②「妊娠期からの児童虐待防止対策」の2つ。これらの課題の解決に向け52の指標を設定、各指標を「健康水準の指標」「健康行動の指標」「環境整備の指標」の3グループに整理した。なお、第1次において既に目標が達成された28の指標は「参考とする指標」として、具体的な目標値を設けず、データの推移などを継続的に注視することとしている。

「第2章 中間評価の目的と方法」では、52の指標を個別に分析し、達成状況を評価する方法を示した。具体的には、▶目標を達成した▶目標に達していないが改善した▶変わらない▶悪くなっている▶評価できない」──の5段階で評価する。また、健やか親子21(第2次)計画策定後にベースライン値を設定した指標については、中間評価や最終評価の目標が設定されていないため、改善傾向にある指標を便宜的に「目標に達していないが改善した」とし、計画策定時に最終評価時の目標が設定されていない指標および現時点で既に最終評価時の目標を達成した指標については、新たに最終目標値を設定するとしている。

中間評価の結果について

「第3章 中間評価の結果」は報告書の中核部分にあたり、全52指標と評価結果をまとめている。全52指標のうち、目標を達成したのは12指標で全体の23.1%、改善したのは 22 指標(42.3%)で、合わせて約3分の2の指標が改善していた。反対に悪くなっているのは4指標(7.7%)で、変わらないは5指標(9.6%)、評価できないは9指標(17.3%)だった。

課題別にみると、基盤課題A「切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策」では、16の指標のうち5つで目標を達成(31.3%)、9つは改善傾向にあり(56.3%)、合わせて約9割の指標で改善していた。悪化した指標はなく、2つは評価困難(12.5%)だった。主な課題としては、母子保健行政における都道府県・県型保健所の役割、妊産婦支援におけるポピュレーションアプローチ、近年増加傾向にある育児に参加する父親の産後うつなどを挙げている。総評では、子育て世代包括支援センターへの期待として「すべての妊産婦・乳幼児・保護者等への情報提供・相談対応といったポピュレーションアプローチから始まり、多様な専門機関との連絡調整や連携の上でのハイリスクアプローチでの介入、父親支援などの新しい課題への対応など、地域における切れ目ない支援の拠点としての役割が求められている」としている。

基盤課題B「学童期・思春期から成人期に向けた保健対策」では、11の指標のうち、2つで目標を達成(18.2%)、5つは改善傾向(45.5%)にあり、合わせると約3分の2の指標が改善していた。3つの指標は変化がなかった。唯一悪化した指標は「朝食を欠食する子どもの割合」だった。今後に向けた課題としては、朝食欠食は他の指標である子どものやせ・肥満にも影響するため、総合的な視点の中での対応を求めている。また、十代の自殺死亡率、人口妊娠中絶率、性感染症罹患率の各指標は悪化していないものの、10~14 歳の自殺率が増加し、15 歳未満の出生数が高止まりであり、ベースライン設定時には盛り込まれなかった梅毒の数が急増していることから、十代のメンタルヘルスや性の問題も課題に挙げている。総評としては、学童・思春期保健は保健や医療分野だけでなく、幅広い関係機関での取り組みが必要となることから、関係機関の連携の重要性を説いている。

基盤課題C「子どもの健やかな成長を見守り育む地域づくり」では、8つの指標のうち、4つは目標を達成(50.0%)、1つは変化なし(12.5%)、3つは評価困難(37.5%)で、悪化した指標はなかった。主な課題としては、育児に参加する父親が増えていることから、育児参加する父親自身の意識や心身のケア、それを取り巻く環境整備などの評価などを挙げた。総評では、「多くの指標が改善しており、子どもの健やかな成長を見守り育む地域づくりの実現に向けて、着実に前進している」などとしている。

重点課題①「育てにくさを感じる親に寄り添う支援」では、5つの指標のうち、1つは目標達成、1つは目標には達していないが改善傾向、1つは変化なし、1つが評価困難であり、悪化したのは「発達障害を知っている国民の割合」だけだった。ただしこの結果については、報道等で発達障害の多様性に関する認知が高まることにより、「知っていた」と回答しにくい状況があるのではないか、という検討会の意見があったことを付記している。そのため総評では、「発達障害に関する情報や、発達障害という言葉の認知は向上していると考えられる一方で、発達障害に関する正しい理解は十分に進んでいるとは言えない現状がある」とまとめている。

重点課題②「妊娠期からの児童虐待防止対策」では、12の指標のうち、目標を達成した項目はなく、7つは改善傾向(58.3%)、2つは悪化(16.7%)、3つが評価困難(25.0%)だった。悪化したのは、「児童虐待防止法で国民に求められた児童虐待の通告義務を知っている国民の割合」と「特定妊婦、要支援家庭、要保護家庭等支援の必要な親に対して、グループ活動等による支援(市町村への支援も含む)をする体制がある県型保健所の割合」の2つだったが、前者については「ベースライン値と直近値の調査手法が異なるため、単純に比較することは難しい」とし、後者については、「今後の県型保健所の役割は、必ずしもグループ活動等の取組に限るものではない」との意見があったことを付記した。また、「児童虐待による死亡数」はベースライン値と比べると減少しており、数値上は目標を達成しているものの、数値は地方公共団体が把握したものに限られていたため、「目標を達成した」と判定するとミスリードのおそれがあるとして、「評価できない」としている。

最終目標の再設定や新たに追加する指標など

「第4章 最終評価に向けた指標に関する整理」では、指標名の変更、最終目標の再設定、新たに追加する指標などについて整理している。

指標名の変更があったのは以下のとおり。
【基盤課題A】
・小児救急電話相談(♯8000)を知っている親の割合
  →子ども医療電話相談(♯8000)を知っている親の割合
【重点課題①】(参考値)
・情緒障害児短期治療施設の施設数
  →児童心理治療施設の施設数
【重点課題②】
・子どもを虐待していると思われる親の割合
  →乳幼児期に体罰や暴言等によらない子育てをしている親の割合
・要保護児童対策地域協議会の実務者会議、若しくはケース検討会議に、産婦人科医療機関の関係職種(産婦人科医又は看護師や助産師)が参画している市区町村の割合
  →要保護児童対策地域協議会に産婦人科医療機関が参画している市区町村の割合

最終評価目標を再設定した指標は以下のとおり。
【基盤課題A】
・乳幼児健康診査の受診率(3歳児)
  5.0% → 3.0%
・子どものかかりつけ医(医師・歯科医師など)を持つ親の割合(<歯科医師>3歳児)
  50.0% → 55.0%
・妊娠届出時にアンケートを実施する等して、妊婦の身体的・精神的・社会的状況について把握している市区町村の割合
  なし → 100%
・十代の人工妊娠中絶率
  6.0(人口千対)→ 4.0
【基盤課題B】
・朝食を欠食する子どもの割合
  中間評価時に設定 → 小学6年生 8.0%、中学3年生 10.0%
・学校保健委員会を開催している小学校、中学校、高等学校の割合
  中間評価時に設定 → 100%
【基盤課題C】
・マタニティマークを妊娠中に使用したことのある母親の割合
  70.0% → 80.0%
・マタニティマークを知っている国民の割合
  55.0% → 70.0%
・積極的に育児をしている父親の割合
  55.0% → 70.0%
【重点課題①】
・ゆったりとした気分で子どもと過ごせる時間がある母親の割合
  3・4か月児 83.0%、1歳6か月児 71.5%、3歳児 64.0% → 3・4か月児 92.0%、1歳6か月児 85.0%、3歳児 75.0%
【重点課題②】
・乳幼児期に体罰や暴言等によらない子育てをしている親の割合(変更後の指標名)
  中間評価時に設定→3・4か月児 95.0%、1歳6か月児 85.0%、3歳児 70.0%
・乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)を知っている親の割合
  なし → 100%
・対象家庭全てに対し、乳児家庭全戸訪問事業を実施している市区町村の割合(事業実施率)
  中間評価時に設定 → 100%
・養育支援が必要と認めた全ての家庭に対し、養育支援訪問事業を実施している市区町村の割合(事業実施率)
  中間評価時に設定 → 100%
・要保護児童対策地域協議会に産婦人科医療機関が参画している市町村の割合(変更後の指標名)
  中間評価時に設定 → 増加

新たに追加する指標は以下のとおり。
【基盤課題B】
・「十代の性感染症罹患率」に「梅毒」を追加。最終目標値は「減少」とする。
・参考指標として「運動やスポーツを習慣的にしている子どもの割合」を追加し、「一週間の総運動時間が 60 分未満の子どもの割合」によって把握する。同様に、「要保護児童対策地域協議会に配偶者暴力相談支援センターが参画している市区町村の割合」を追加する。

総括と今後について

「第5章 中間評価の総括と今後に向けて」では、多くの指標の改善が見られたことを評価する一方で、「十代の自殺死亡率」「児童虐待による死亡数」といった重要な指標が改善しているとはいえない状況にあるとして、引き続き対策の推進を求めている。また、昨年12月に成立した「成育基本法」を踏まえた展開についても明記した。

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