ニュース

「健やか親子21(第2次)」の中間評価等に関する検討会が初会合

6月26日、厚生労働省の「健やか親子21(第2次)」の中間評価等に関する検討会(座長=五十嵐隆国立成育医療研究センター理事長)が初会合を開き、取り組みの進捗状況が報告された。

健やか親子21は2001(平成13)年から始まった母子保健の国民運動計画。14(平成26)年に第1次計画が終了し、15(平成27)年度から始まった第2次計画は10年後(24〈令和6〉年度)の「すべての子どもが健やかに育つ社会」の実現を目指して現在、推進中だ。スタートから4年がたち、計画の中間年に差し掛かった今年、中間評価に向けての議論が始まった。

健やか親子21(第2次)は、3つの基盤課題と2つの重点課題、52の指標で構成される。基盤課題は、従来から取り組んできて引き続き改善が必要な課題や、少子化や家族形態の多様化などを背景に出てきた新たな課題。そのうち「切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策」を基盤課題A、「学童期・思春期から成人期に向けた保健対策」を基盤課題B、これらを下支えする環境づくりを基盤課題Cとしている。重点課題は基盤課題A~Cでの取り組みをより一歩進めたもので、重点課題①「育てにくさを感じる親に寄り添う支援」と重点課題②「妊娠期からの児童虐待防止対策」がある。こられの課題の解決のために、目標となる52の指標が設けられている。なお、第1次のとき既に目標が達成されたと評価した28の指標は「参考とする指標」として、具体的な目標値を設けずにデータの推移などを継続的に注視することとしている。

中間評価の方法について

中間評価では52の指標を個別に分析し、達成状況を▸改善した(目標を達成した)▸改善した(目標に達していないが改善した)▸変わらない▸悪くなっている▸評価できない――の5段階で評価する。第2次計画策定後に設定した一部の指標については、中間評価や最終評価の目標が設定されていないため、便宜的に、改善傾向にある指標については「改善した(目標に達していないが改善した)」とする。また、計画策定時に最終評価時の目標が設定されていない指標と、現時点で既に最終評価時の目標を達成した指標については、新たに最終目標値を設定する。

指標の技術的事項に係る修正について

検討会の開催にあたり挨拶に立った濵谷浩樹子ども家庭局長は、「昨年12月に成育基本法が成立した。今後は健やか親子21を成育基本法の基本方針に吸収するような形で一体的に発展させていきたい」と話した。

この日は、取り組みの進捗状況の報告の前に、指標の技術的事項の修正ついて事務局から説明があり、修正案が示された。修正するのは母親に関する表記やベースライン値の変更など。

基盤課題Aの指標5「妊娠中の妊婦の喫煙率」、指標6「育児期間中の両親の喫煙率」、指標7「妊娠中の妊婦の飲酒率」では、問診票の設問における回答者の呼称を「あなた(お母さん)」としているが、問診票の記入者が母親とは限らないため、呼称を「お子さんのお母さん」に修正する。

基盤課題Bの指標6「歯肉に炎症のある十代の割合」では、ベースライン値を「25.7%」としていたが、調査研究において再計算したところ、「25.5%」であったため、ベースライン値を「25.5%」に修正する。指標8「十代の飲酒率」は健康日本 21(第2次)の「未成年の飲酒」とベースライン値を一致させ、「中学3年 男子8.0% 女子9.1%」を「中学3年 男子10.5% 女子11.7%」に、「高校3年 男子21.0% 女子18.5%」を「高校3年 男子21.7% 女子19.9%」とする。指標9「朝食を欠食する子どもの割合」は、ベースライン値設定時のデータソースである「児童生徒の食事状況等調査」が現在実施されていないため、それに代わるデータソースとして文部科学省の「全国・学力学習状況調査」を使う。これに伴い策定時のベースライン値「小学5年 9.5% 中学2年 13.4%」は、データソース変更後に「小学6年 11.0% 中学3年 16.3%」となる。

重点課題①の指標2「育てにくさを感じたときに対処できる親の割合」は「健康水準の指標」のグループに入っているが、「健康行動の指標」のグループに修正する。

以上の指標の技術的事項に係る事務局修正案は、了承された。

基盤課題Aの進捗状況について

続いて、基盤課題Aと基盤課題Bの進捗状況が分析シートに基づいて報告された。分析シートでは指標ごとに、ベースライン値、直近値、中間評価(5年後)目標値、最終評価(10年後)目標値を整理し、「評価」を暫定的な事務局案として示した。

基盤課題Aのうち、「改善した(①目標を達成した)」のは、次の5指標だった。
・指標1「切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策」
・指標2「全出生数中の低出生体重児の割合」
・指標3「妊娠・出産に満足している者の割合」
・指標4「むし歯のない3歳児の割合」
・指標9「小児救急電話相談(♯8000)を知っている親の割合」

「改善した(②目標に達成していないが改善した)」のは、次の8指標だった。
・指標5「妊娠中の妊婦の喫煙率」
・指標6「育児期間中の両親の喫煙率」
・指標7「妊娠中の妊婦の飲酒率」
・指標8「乳幼児健康診査の受診率」
・指標11「仕上げ磨きをする親の割合」
・指標12「妊娠届出時にアンケートを実施する等して、妊婦の身体的・精神的・社会的状況について把握している市区町村の割合」
・指標13「妊娠中の保健指導(母親学級や両親学級を含む)において、産後のメンタルヘルスについて、妊婦とその家族に伝える機会を設けている市区町村の割合」
・指標14「産後1か月でEPDS9点以上を示した人へのフォロー体制がある市区町村の割合」

なお、指標10「子どものかかりつけ医(医師・歯科医師など)を持つ親の割合」については、医師の部分が「改善した(②目標に達成していないが改善した)」で、歯科医師の部分が「改善した(①目標を達成した)」となった。

反対に「悪くなっている」のは、指標15「ハイリスク児に対し保健師等が退院後早期に訪問する体制がある市区町村の割合、市町村のハイリスク児の早期訪問体制構築等に対する支援をしている県型保健所の割合」の県方保健所の部分(市区町村の部分は「改善した〈②目標に達成していないが改善した〉」)と、指標16「乳幼児健康診査事業を評価する体制がある市区町村の割合、市町村の乳幼児健康診査事業の評価体制構築への支援をしている県型保健所の割合」だった。

指標15の県型保健所が悪化した理由としては、「平成25年度から未熟児養育医療や未熟児訪問の実施主体が市町村に移譲されたことの影響」を挙げている。また、指標16が悪化した理由については、「乳幼児健康診査事業が個別健診として実施され、その場合の精度管理の困難さがあること、支援の必要な対象者のフォローアップの遅れなどが考えられる」と分析している。

議論の中で、島田真理恵構成員(公益社団法人日本助産師会会長、上智大学総合人間科学部看護学科教授)は、指標14「産後1か月でEPDS9点以上を示した人へのフォロー体制がある市区町村の割合」について、「EPDS9点以上へのフォローはハイリスクアプローチになるが、この指標ではハイリスクになる前段階のポピュレーションアプローチを頑張っている市区町村の姿が見えないことになる」と指摘した。山縣然太朗構成員(山梨大学大学院総合研究部社会医学域教授)もこれに続き、「産前産後の心の問題は非常に重要なテーマで、最近は父親の産後うつがクローズアップされている。今後はこうしたことも課題になる」と話し、EPDSに限らず視野を広げるべきとの意向を示した。これらの意見に対して五十嵐座長は、「新たな指標、評価が必要であると受け止める」と話した。

基盤課題Bの進捗状況について

基盤課題Bについては、「改善した(①目標を達成した)」のは次の2指標だった。
・指標2「十代の人工妊娠中絶率」
・指標3「十代の性感染症罹患率
 
「改善した(②目標に達成していないが改善した)」のは、次の4指標だった。
 ・指標5「児童・生徒における肥満傾向児の割合」
 ・指標7「十代の喫煙率」
 ・指標8「十代の飲酒率」
 ・指標11「地域と学校が連携した健康等に関する講習会の開催状況」

なお、中間評価と最終評価の目標値を設定していなかった、指標10「学校保健委員会を開催している小学校、中学校、高等学校の割合」については、「改善した」と評価された。

「変わらない」は次の3指標だった。
 ・指標1「十代の自殺死亡率」
 ・指標4「児童・生徒における痩身傾向児の割合」
 ・指標6「歯肉に炎症がある十代の割合」

「悪くなっている」は、指標9「朝食を欠食する子どもの割合」だった。悪化の理由としては、「親世代の欠食率の高さが朝食がない家庭環境につながっていると考えられる」としている。なお、指標9のベースライン値は設定時とデータソースが変わったため、検討会の資料では暫定評価が「評価できない」となっていたが、会議の中で指標の技術的事項に係る修正が了承されたため、「悪くなっている」に変更された。

山縣構成員は「指標1の十代の自殺死亡率の暫定評価は『変わらない』だが、健やか親子21では心の問題が大きな課題だ。それをしっかり認識するという意味でも『統計的には変わらないが、変わらないことが問題だ』など、書きぶりを変える必要があるのではないか」と提言した。これに対し五十嵐座長は「評価には決まった表現様式があるので仕方ない面はあるが、『変わらないことが良いという意味ではない』ということが伝わる表現が必要というのは、重要な指摘だと思う」と話した。

検討会では、第2回(7月31日)に基盤課題Cと重要課題①②について報告と議論を行い、第3回(8月30日)に中間評価報告書のとりまとめについて議論する予定。

リンク

ニュース

ページトップへ