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健康寿命延伸プラン

5月29日、厚生労働省の「健康寿命延伸プラン」の全貌が明らかになった。

2040 年には団塊ジュニア世代が高齢者となる一方、現役世代が急激に減少する。こうした中、社会の活力を維持・向上しつつ全ての世代が安心できる社会保障を実現するには、高齢者などを含めた多様な就労・社会参加が可能な社会が求められる。厚生労働省では高齢者をはじめ意欲のある人たちが社会で役割を持って活躍できるよう、「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」を設置、多様な就労・社会参加が可能な環境整備などについて部局横断的な検討を進めている。健康寿命の延伸はその大前提となるものだ。

5月29日の「第2回 2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」で、「健康寿命延伸プラン」が示された。プランでは2040 年までに健康寿命を男女ともに3年以上延伸(2016年比)し、75 歳以上とすることを目指すとしている。具体的には、①次世代を含めたすべての人の健やかな生活習慣形成②疾病予防・重症化予防③介護予防・フレイル対策、認知症予防――の3分野を中心として、健康無関心層へのアプローチを強化し、地域・保険者間の格差の解消を図る。その際、「自然に健康になれる環境づくり(健康な食事や運動ができる環境、居場所づくりや社会参加))」や「行動変容を促す仕掛け(行動経済学の仕組み、インセンティブ)」などの新たな手法を活用する。

プランの主な事項は以下のとおり。

①次世代を含めたすべての人の健やかな生活習慣形成

(1)栄養サミット 2020 を契機とした食環境づくり【産学官連携プロジェクト本部の設置、食塩摂取量の減少(8g 以下)】
(2)ナッジ等を活用した自然に健康になれる環境づくり【2022 年度までに健康づくりに
取り組む企業・団体を 7,000 に】
(3)子育て世代包括支援センター設置促進【2020 年度末までに全国展開】
(4)妊娠前・妊産婦の健康づくり【長期的に増加・横ばい傾向の全出生数中の低出生体重
児の割合の減少】
(5)PHR の活用促進【検討会を設置し、2020 年度に本人に提供する情報の範囲や形式について方向性を整理】
(6)女性の健康づくり支援の包括的実施【本年度中に健康支援教育プログラムを策定】

②疾病予防・重症化予防

(1)ナッジを活用した健診・検診受診勧奨【がんの年齢調整死亡率低下、2023 年度まで
に特定健診実施率 70%以上等を目指す】 (2)リキッドバイオプシー等のがん検査の研究・開発【がんの年齢調整死亡率低下を目
指す】
(3)慢性腎臓病診療連携体制の全国展開【2028 年度までに年間新規透析患者 3.5 万人以
下】
(4)保険者インセンティブの強化【本年夏を目途に保険者努力支援制度の見直し案のと
りまとめ】
(5)医学的管理と運動プログラム等の一体的提供【本年度中に運動施設での標準的プロ
グラム策定】
(6)生活保護受給者への健康管理支援事業【2021 年1月までに全自治体において実施】
(7)歯周病等の対策の強化【60 歳代における咀嚼良好者の割合を 2022 年度までに 80%
以上】

③介護予防・フレイル対策、認知症予防

(1)「通いの場」の更なる拡充【2020 年度末までに介護予防に資する通いの場への参加率
を 6%に】
(2)高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施【2024 年度までに全市区町村で展開】
(3)介護報酬上のインセンティブ措置の強化【2020 年度中に介護給付費分科会で結論を
得る】
(4)健康支援型配食サービスの推進等【2022 年度までに 25%の市区町村で展開等】
(5)「共生」・「予防」を柱とした認知症施策【本年6月目途に認知症施策の新たな方向性
をとりまとめ予定】
(6)認知症対策のための官民連携実証事業【認知機能低下抑制のための技術等の評価指標
の確立】

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