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平成30年度全国厚生労働関係部局長会議(第2報)

1月18日、厚生労働省の平成30年度全国厚生労働関係部局長会議が開かれ、各部局の施策と来年度予算案が説明された。午後のプログラムについて報告する。

老健局

大島一博老健局長は、冒頭に、2021年から始まる介護保険の第8期を迎えるにあたり、今年1年は介護保険見直し策に入ると話した。介護の人手不足、認知症、持続可能性に応える取り組みの前提、基盤となるものが「地域づくり」だと語った。

具体的には、「地域づくりは古くて新しい問題」であり、具体的には介護予防と生活支援がポイントになるとその方向性を示した。また、どの市町村でもやる気があれば確実に取り組めていけるように、地域づくりのテキスト、手引き書として使える紙芝居風の資料作成の最中で、その資料を老健局の中では「地域づくり3部作」と呼んでいるという。
3部作のそれぞれのテーマは、1部が「集い」。高齢者が体をうごかす機会となる通いの場を、徒歩5分から10分以内のところにたくさん作ることをすすめるものだという。2部の「互い」は住民互助のことを指し、例えば認知症サポーターが実際に活動できるように制度を活用できるように拡げてくことなどとした。3部の「知恵の出し合い」は、多職種、専門職による地域ケアや地域共生社会をイメージしたものとだとし、3月の全国課長会議では資料の1.0版を配り、随時バージョンアップしていく予定だと説明した。

 続いて重点事項の説明は、資料に沿って次の6点を説明した。
 1. 2019年度介護報酬改定について
   ①介護職員の更なる処遇改善について
   ②介護保険サービス等に関する消費税の取扱いについて
 2. 介護サービス現場の改善について
   ①介護現場革新の取組について
   ②介護分野の文書量半減の取組について
 3. 介護保険料の低所得者軽減強化の円滑実施のための支援について
 4. 2019年度保険者機能強化推進交付金の方向性について
 5. 認知症施策の推進について
 6. 平成31年度の予算案について
 
このうち、6の平成31年度予算案について、介護分で介護人材不足が喫緊の課題であること、消費税率の引き上げを踏まえて、100億円の増額をしたことをとりあげ、地方自治体が柔軟に使えるように準備していることを説明した。

社会・援護局

谷内繁局長は、社会・援護局の平成31年度予算(案)について、前年度に比べ少し減っているが、これは生活保護利用者の減少により負担金が減ったことなどによるもので、各政策ごとの予算は確保していると説明した。

次に生活困窮者自立支援制度の推進について、生活困窮者に対する包括的な支援体制の強化を内容とする法案を平成30年6月に成立、公布したところであるが、10月1日から一部施行が始まっている。中でも大きいものは「自立相談支援事業、就労準備支援事業、家計改善支援事業の一体的実施の促進」だと強調し、今後3年間集中して行うものであることから、都道府県の実施状況などもみながら進めていきたい考えを示した。また、4月1日から始まるものとして、「子どもの学習支援事業の強化」と「居住支援の強化(一時生活支援事業の拡充)」の2つを挙げ、今後ガイドライン等の通知を出していくので、都道府県にも積極的な取り組みをと求めた。
予算配分については、生活困窮者自立支援法等関係では、前年度に比べ予算案では6.6億円の増となっている。必須事業としては前年と同額だが、任意事業は今回の法改正で拡大している。新規・拡充の事業を活用してほしいと述べた。

次に生活保護関係では、増額部分について説明があった。平成31年度生活保護関係補助金の新規・拡充分として特に増やした点は、被保護者の健康管理支援事業の円滑な実施に向けた自治体における準備事業と、データ収集等の事業だ。平成30年度2次補正予算案では、マイナンバー情報連携等に関するシステム改修や、レセプト管理システムの改修についても補助金があるので活用してほしいと話した。

「地域共生社会」の実現に向けた包括的な支援体制の整備等については、今後の地域づくり強化のため。自治体の創意工夫ある取り組みを支援するモデル事業を引き続き実施するとし、平成31年度の予算案は28億円とし、前年度に比べ2億円の増額となった。モデル事業への参加自治体数は、平成29年度が85、平成30年度が151と増えており、平成31年度は200自治体が参加見込みがあるとした。

福祉・介護人材の確保対策については、今後介護が必要になる方の急速な増加が見込まれていること、国の急速な少子高齢化が見込まれていることなどから、人材確保は喫緊の課題で、できる手は全て打っていかなければならないと訴えた。
第7期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数の試算によると、今後2025年度末までに年間6万人程度の介護人材を確保する必要がある。対策として、介護職員の処遇改善や、介護未経験の中高年齢者等への研修、マッチングなど多様な人材確保、介護ロボット・ICT活用推進、介護職の魅力向上、外国人材の受け入れ環境整備など、これまでの対策に加え、今後さらに講じる対策などが説明された。平成31年度予算案の全体像も示され、都道府県等による取り組みでは、地域医療介護総合確保基金を活用した参入促進、資質の向上、労働環境・処遇の改善が示され、介護入門者ステップアップ支援事業や現任職員キャリアアップ支援事業について、基金事業のメニュー追加を活用して欲しいと紹介があった。国による取り組みでは、特に若年者や子育て世代、アクティブシニア等、対象者像に応じた個別的アプローチを、拡充施策として取り上げた。
外国人介護人材の確保では、「外国人介護人材受入環境整備事業」が新たに創設されたことが示された。

自殺対策の推進について、資料上では自殺者数がこの6年連続で3万人を下回るとあったが、この会議の日の朝に出た速報により、7年連続で3万人を下回ったことが確定した。
しかし自殺者数が減ったとしても、依然として年間約2万1千人が自殺しており、特に若者の自殺も増えているなど、状況は深刻である。今後の取り組みとして、各自治体における地域自殺対策計画の策定、実施を支援すること、若者の自殺対策を推進することなどが示され、平成31年度予算案では、地域自殺対策強化交付金として26億円を予定しており、居場所づくり事業やモデル事業実施に使えるとして活用を呼びかけた。

続いて成年後見制度の利用促進について、今後認知症の方の数が増えていくのは必至であり、成年後見制度を必要とする方も増えていく。そこで重要になってくるのは、地域連携ネットワークの中核機関の設置にあるとし、今後の取り組みでも、平成31年度予算案に計上した補助事業の積極的な活用により、市町村における中核機関の整備や計画策定を推進し、研修などにも活用てほしいと述べた。
とくに平成31年度は、基本計画の中間年度に当たることから、基本計画の進捗状況を把握し、個別課題の整理・検討をするように話した。

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