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第1回「授乳・離乳の支援ガイド」改定に関する研究会

11月9日、厚生労働省の「『授乳・離乳の支援ガイド』改定に関する研究会」の初会合が開かれた。平成19年の支援ガイド策定から約10年、その間の状況変化を踏まえ、支援ガイドの内容を最新のものに見直していく。

「授乳・離乳の支援ガイド」(以下、支援ガイド)は、授乳・離乳の支援にあたる保健医療従事者が基本的事項を共有し一貫した支援を行うことを目的に平成19年に策定された。自治体や医療機関などで活用されるとともに、母子健康手帳をはじめ授乳・離乳に関する施策策定時に参考にされている。開会の挨拶で平子哲夫母子保健課長は、「支援ガイドの策定から約10年が経過した。その間の社会環境等の変化を踏まえ、最新の知見を反映したものを作成するよう本研究会で検討していただきたい」と研究会の目的を説明した。

この日の議事は、(1)授乳及び離乳を取り巻く現状について(2)「授乳・離乳の支援ガイド」改定の方向性について(3)その他。座長の選任では、五十嵐隆構成員(国立成育医療センター理事長)が選ばれた。就任にあたり五十嵐座長は、支援ガイド策定後の医療・社会状況の変化に言及し、「医療的ケア児や若い世代の貧困などが増える中、日本は欧米と違って若い人たちへの支援、特に子育て世代への支援が少なく、支援ガイドを変える必要が出てきた。皆様の経験と英知で良いものを作りたい」と抱負を述べた。

授乳及び離乳を取り巻く現状について

議事(1)「授乳及び離乳を取り巻く現状について」で事務局(母子保健課)は、授乳と離乳の動向を説明した。10年前と比べると授乳期の栄養方法(1か月、3か月)では母乳栄養の割合が増加し、生後1か月で51.3%、3か月で54.7%だった。混合栄養も含め母乳を与えている割合は1か月で96.5%、3か月で89.8%に上った。出産後1年未満で働いている女性の母乳栄養は49.3%であり、10年前より22.6%も増加した。一方、「授乳について困ったことがある」と感じている保護者は約8割だった。

離乳に関する動向では、離乳食開始時期としては6か月が44.9%で最も高く、10年前よりもピークが1か月遅くなっていた。完了時期は13~15か月が33.3%と最も高く、これも10年前よりピークが遅くなっていた。また、4か月未満で離乳食を開始した割合は15.3%から2.1%へと大幅に減少した。約75%の保護者が離乳食について困ったことがあり、3人に1人は「離乳食を作るのが負担、大変」と感じていた。それを反映してベビーフードの生産重量・生産額は増加傾向にある。そうした中で、約8割の保護者には離乳食について学ぶ機会があり、学ぶ方法(場)としては保健所・保健センター67.5%、育児雑誌41.3%、インターネット27.8%、友人・仲間26.8%、母親など家族26.7%――などが上位に上がっていた。

食物アレルギーの状況では、3歳児時点の有病率は増加傾向にあり、有病者は年齢が低いほど多かった。0~6歳児の保護者アンケートでは、食事が原因と思われるアレルギー症状を起こしたことがある者の割合は14.8%だった。そのうち、医療機関を受診した者は87.8%で、11.2%は受診していなかった(不詳1.0%)。受診しなかったときの対応方法としては「母親など家族に相談した」が最も多く43.8%、「インターネットや雑誌で対応方法を探した」が25.0%でこれに続いた。

乳幼児の栄養管理の支援のあり方に関する研究報告

楠田聡構成員(杏林大学医学部客員教授)からは、「乳幼児の栄養管理の支援のあり方に関する研究」の報告があった。研究は最新の科学的知見に基づく支援ガイド改定の提言案作成などを目的に、改定が必要と思われる項目についてCQ(clinical question、臨床的疑問)を作成、最新論文をMEDLINE等で系統的に検索して評価した。CQは全部で18個で、その一つ一つについてガイドの該当個所、ガイドの課題、ガイドへの提言をまとめている。例えば「正規産児に母乳栄養を行うと児のアレルギー疾患を予防できるか?」というCQでは、ガイドへの提言として「母乳栄養が食物アレルギーを減らすという明確なエビデンスはない。アレルギー疾患に対する母乳の予防効果は限定的と認識する必要がある」などとまとめている。

楠田構成員は「アレルギー疾患、メタボリック症候群などの論文に関するシステマティックレビューがあったため、科学的な根拠が既に存在することが分かった。また、そこまでの根拠はないものの授乳・離乳に関して不安を持つ母親がおり、出産後のうつ傾向等にも関係している。授乳・離乳の支援ガイドには、単に子どもの栄養学的な改善だけでなく、母親の精神状態や親子関係も含めた目標があると感じた」と研究を振り返った。構成員の間からは、「海外のシステマティックレビューの結果をそのまま日本に当てはめてよいのかについても、今後は考える必要がある」などの意見が聞かれた。

「授乳・離乳の支援ガイド」改定の方向性について

議事(2)「『授乳・離乳の支援ガイド』改定の方向性について」で、事務局は改定の方向性を報告書の構成案として示した。報告書は総論と各論に分け、総論は「授乳及び離乳に関する社会を取り巻く状況や本ガイドに関する基本的な考え方等」、各論は「授乳及び離乳に関する最新の知見並びにそれに基づく具体的な支援のあり方等」で、各論は本文、事例及びコラム、参考資料の3要素で構成、本文は効果のエビデンスがあるものを基本とし、事例及びコラムはこの10年間における好事例を掲載したい――としている。

全体の議論

全体を通した議論では、「離乳食について学ぶ機会がある保護者が約8割いる一方で、約75%が離乳食について困ったことがあるというのは、支援方法がニーズに合っていないのではないか」との指摘や、「ネウボラの発想における支援のキーワードは“対話”。対話型の支援を土台として入れてもよいのではないか」などの意見が聞かれた。

2回目の研究会は12月27日に開かれる予定。

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