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【レポート】第1回小児・AYA世代のがん医療・支援のあり方に関する検討会

12月1日、厚生労働省の「小児・AYA世代のがん医療・支援のあり方に関する検討会」の初会合が開かれた。小児がんやAYA世代のがんの現状が報告され、小児がん拠点病院のあり方について意見が交わされた。

今年10月に公表された第3期がん対策推進基本計画では、小児がんに加えてAYA世代のがん対策も盛り込まれた。AYA世代とは、15歳から30歳前後の思春期や若年成人(Adolescent and Young Adult、AYA)のこと。この世代は心身の発達・成長過程にあり、学業・就労・結婚などライフステージ上でも非常に重要な時期にあたる。15歳未満の小児に多く発生するがんと、成人に多く発生するがんのいずれもが発生し得る時期でもある。AYA世代に適したがん対策が求められる中、小児と成人領域の狭間にあるため診療体制が定まっていない、患者数が少ないことから医療提供側に経験が蓄積されにくい、などの課題がある。教育、就労、生殖機能の温存等に関する情報や相談体制も十分とはいえない。

一方、小児がんについては、全国15か所の小児がん拠点病院と2か所の小児がん中央機関が整備され、診療の一部集約化と小児がん拠点病院を中心としたネットワークによる診療体制構築が進められている。しかし、標準的治療が確立しておらず診療を集約化すべきがん種(脳腫瘍など)と、標準的治療が確立しており一定程度の診療の均てん化が可能ながん種の整理、在宅医療の支援体制整備などの課題がある。「小児・AYA世代のがん医療・支援のあり方に関する検討会」は、これらの課題を踏まえ、小児・AYA世代のがん患者や家族が安心して適切な医療や支援を受けられる環境の整備を目指し、小児がん拠点病院のあり方や、がん診療連携拠点病院等との連携などについて検討する。座長には、堀部敬三氏(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター長)が選ばれた。

この日は議論に先立って、小児がんやAYA世代のがんの現状に関する報告がなされた。構成員の松本公一氏(国立研究開発法人国立成育医療研究センター小児がんセンター長)は「小児がん拠点病院・中央機関のこれまでの取り組みと課題」を報告した。小児がんは年間2,000~2,500人の発症があるという。そうした中、小児がん中央機関は国立成育医療センターと国立がん研究センターの2か所が担い、各地の小児がん拠点病院と連携する体制をとっている。全国に15か所ある小児がん拠点病院のカバー率は32.2%であり、そのうち約半数は大学病院だという。関東甲信越ブロックの拠点病院の患者が2012年に28.4%だったのが2015年には33.9%になるなど、集約化も少しずつ進んでいる。松本氏は課題として、①小児がん患者の長期フォローアップ②臨床研究や治験の推進③小児がんに携わる看護師・コメディカルの育成④小児がん患者の教育体制⑤AYA世代のがん患者の診療体制の整備――を挙げた。

参考人として呼ばれた清水千佳子氏(国立がん研究センター中央病院乳腺・腫瘍内科)は、AYA世代のがんの現状と課題について報告した。AYA世代のがんの特徴として、25歳未満では希少がんが多い一方で、25歳以上になると子宮がん・乳がん・消化器がんが増加するという。清水氏は、「頻度の高いがんの場合は、AYAがん患者が高齢の患者に埋もれてしまう」と話した。

AYA世代のがん医療に関する包括的実態調査の結果も紹介した。患者の悩みとしては「今後の自分の将来のこと」が一番多かった。また、この世代のがんサバイバーの悩みでは「今後の自分の将来のこと」に次いで、「不妊治療や生殖機能に関する問題」が多かった。治療中に「ほしかったのに得られなかった情報」や「相談したいのにできなかったこと」としては、「今後の自分の将来のこと」「年齢に適した治療環境」「他の思春期・若年成人期発症のがん患者・経験者との交流」「生き方・死に方」「家族の将来のこと」などが多く、将来に対する不安や病気について話し合える同世代の仲間がいないことが浮き彫りになった。

課題としては、①ネットワークの推進(小児科と成人診療科の連携など)②情報、情報相談窓口の拠点化③自律、自己管理の支援(世代の特性に応じた心理社会的支援など)④小児がん拠点病院と(成人の)がん診療連携拠点病院の役割の整理――を挙げた。

この日は、「小児がん拠点病院のあり方」について議論した。事務局は論点(案)として、①第3期がん対策推進基本計画を踏まえて、小児がん拠点病院の指定要件を検討してはどうか②小児がん拠点病院と拠点病院以外の(小児がんを診療する)病院との連携を強化すべきでないか③小児がん拠点病院で、AYA世代の診療や、妊孕(にんよう)性温存や就学・就労を含めた支援についてどのように対応すべきか――の3つを示した。構成員からは、「小児がんを発症してAYA世代になる場合と、AYA世代からがんを発症した場合は分けて考えるべき」「(小児がん拠点病院を主語とした)①②③とは別に、④としてAYA世代のがんの診療支援体制が主語であるような論点も必要ではないか」「診療という面では小児とAYA世代は違うところがあるが、支援については切れ目があってはいけない」「経済的な支援などを考えると、都道府県でがん対策推進基本計画を扱うことを示したほうがよい」などの意見が聞かれた。これらの意見を踏まえ、次回会合では、①年齢②がん種③地域④支援――の4つの軸で整理した資料が提示される予定。

検討会はこの後2回開かれ、平成30年6月には検討会の報告を踏まえた新たな小児がん拠点病院の整備指針が公表される。平成31年4月からは小児がん拠点病院の指定が始まる。

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