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厚生労働省が「高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン暫定版」を提示

厚生労働省は「高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン暫定版」をまとめ、3月30日に開かれた「第28回保険者による健診・保健指導等に関する検討会」で提示した。

高齢者のフレイル対策は、一昨年の経済財政諮問会議等でモデル事業の実施やガイドライン作成が位置づけられる一方、「高齢者の医療の確保に関する法律」の改正で、後期高齢者医療広域連合による高齢者の心身の特性に応じた保健指導が明記された。同改正法が施行された2016(平成28)年4月には「高齢者の保健事業の検討ワーキンググループ」が設置され、後期高齢者医療広域連合が保健事業を実施する際に参考となるガイドラインの作成を進めてきた。

後期高齢者は前期高齢者に比べ、加齢に伴う虚弱な状態であるフレイルが顕著に進行する。また複数の慢性疾患を有し、フレイルなどを要因とする老年症候群の症状が混在するため、包括的な疾病管理が重要という特性がある。ガイドライン暫定版では、これらの特性を踏まえた保健事業に求められることとして、①体重や筋肉量の減少を主因とした低栄養等のフレイルに着目した対策②生活習慣病の発症予防というよりは重症化予防等の取組③再入院の防止や多剤による有害事象の防止(服薬管理)④専門職によるアウトリーチを主体とした対象者一人ひとりに応じた個別の介入支援(栄養指導など)──を挙げている。

またレセプトや健診データから保健事業の対象者を階層化し、状態別の集団特性に応じた保健事業を提供するとしている。階層化は①緊急・長期入院を含む高額医療費が発生している高齢者②主に外来を中心とした在宅療養中の高齢者③フレイルが顕在化しつつある虚弱な高齢者④医療をあまり利用しない元気な高齢者──の4層をイメージ。当面は②と③を重視する。主な課題は栄養、口腔、服薬、生活習慣病等の重症化予防で、これらの課題を支援の入り口として高齢者が抱える健康上の不安を専門職がサポートする。相談・支援のスタンスとしては、在宅の日常生活を支えること、対象者の主体性を重視することとしている。

保健事業は後期高齢者医療広域連合と市町村の連携のもとに推進し、後期高齢者医療広域連合は保険者として保有する健診・レセプト等の健康医療情報を包括的・統合的に管理し、対象者の選定や介入支援を効果的・効率的に行うとともに、事業評価を適切に実施する。市町村は広域連合から提供される健康・医療情報等を活用して地域の疾病構造や健康課題を把握。介護保険、国民健康保険、一般住民を対象とした保健事業等との整合を図りつつ推進する。

今後、暫定版をもとにさらに議論を深め、17(平成29)年度末にガイドラインの策定を完了。18(平成30)年度以降、ガイドラインを用いた全国の後期高齢者医療広域連合における横展開を目指している。

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