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厚生労働省が「難病の医療提供体制の在り方について」(報告書案)を提示 ~厚生科学審議会疾病対策部会 第45回難病対策委員会~

厚生労働省は9月16日に開かれた「厚生科学審議会疾病対策部会 第45回難病対策委員会」(座長=千葉勉京都大学大学院総合生存学館思修館特定教授)で、「難病の医療提供体制の在り方について」(報告書案)を提示した。

難病は発症から確定診断までに時間を要する場合が多く、患者は長期の療養生活を送ることになる。そのため、早期に正しい診断ができる体制の構築と、診断後により身近な医療機関で適切な医療を受けられる体制の確保が求められていた。昨年9月にまとめられた「難病の患者に対する医療等の総合的な推進を図るための基本的な方針」(難病対策基本方針)では、国の責務として「難病の診断及び治療の実態を把握し、医療機関や診療科間及び他分野との連携の在り方等について検討を行い、具体的なモデルケースを示す」と記載されている。これを受け難病対策委員会では、今年の7月26 日、8月31 日、9月14 日の3回にわたり、医療機関や診療科間の連携の在り方などを検討するともに、自治体へのヒアリングなどを行ってきた。検討の結果は報告書「難病の医療提供体制の在り方について」に取りまとめられる。
この日、事務局が提示した報告書案では、前回会合で新たな難病の医療提供体制のモデルケースとして示された、「都道府県の難病診療連携の拠点となる病院」「難病診療の分野別の拠点病院」「難病医療協力病院」「一般病院、診療所」について、それぞれの「役割」と「医療機関に求められる事項」をまとめた。また、都道府県の枠を超えた全国レベルの「難病医療支援ネットワーク」については、「役割」と「関係機関に求められる事項」を記載したほか、具体的な「関係機関の例」として、国立高度専門医療研究センター、難病に関する研究班・学会、IRUD(未診断疾患イニシアチブ:Initiative on Rare and Undiagnosed Disease)拠点病院、難病情報センター、各都道府県の難病診療連携の拠点となる病院等を挙げている。そのほか、近年わが国でも増えている遺伝子関連検査や小児慢性特定疾病の移行期医療に関する記述も盛り込まれた。

報告書案の構成は以下の通り。
〇はじめに
〇第1 難病の現状並びに難病医療の課題及び目指すべき方向性
1 難病の現状
2 難病医療の課題及び目指すべき方向性
〇第2 難病の医療提供体制の在り方の基本理念及び各医療機能と連携の在り方
1 難病の医療提供体制の在り方の基本理念
(1)できる限り早期に正しい診断ができる体制
(2)診断後はより身近な医療機関で適切な医療を受けることができる体制
(3)遺伝子関連検査について、倫理的な観点も踏まえつつ幅広く実施できる体制
(4)小児慢性特定疾病児童等の移行期医療を適切に行うことができる体制
2 各医療機能と連携の在り方
(1)より早期に正しい診断をする機能【都道府県の難病診療連携の拠点となる病院】
 (2)専門領域の診断と治療を提供する機能【難病診療の分野別の拠点病院】
(3)早期診断のための広域的な連携機能【難病医療支援ネットワーク】
(4)身近な医療機関で医療の提供と支援する機能【難病医療協力病院】
(5)身近な医療機関で医療を提供する機能【一般病院、診療所】
(6)小児慢性特定疾病児童等の移行期医療に係る機能【移行期医療に係る医療機関】
3 その他連携を推進するために必要な事項
〇第3 難病の医療提供体制構築のための留意事項
1 患者動向、医療資源及び医療連携等に係る現状の把握
 (1) 患者動向に関する情報
 (2) 医療資源・医療連携等に関する情報
2 地域の実情等に応じた柔軟な医療提供体制の構築
〇おわりに

報告書の取りまとめは、この日の議論を踏まえて座長預かりとなった。後日、公表される予定。

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