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【レポート】厚生科学審議会疾病対策部会 第44回難病対策委員会 ~厚生労働省が難病医療提供体制のモデルケースを提示~

8月31日、厚生労働省の「厚生科学審議会疾病対策部会 第44回難病対策委員会」(座長=千葉勉京都大学大学院総合生存学館思修館特定教授)が開かれ、新たな難病医療提供体制の骨子案が示された。

昨年9月の「難病の患者に対する医療等の総合的な推進を図るための基本的な方針」では、国の役割として、難病医療提供体制の具体的なモデルケースを示すことになっていた。この日の委員会で、厚生労働省は2次医療圏の仕組みは従来通りとし、3次医療圏や全国レベルで新たな仕組みを構築する、新たな難病医療提供体制の骨子案を提示した。

骨子案では、難病医療提供体制における連携の中心を「都道府県難病診療拠点病院」、消化器系疾患、神経・筋疾患、自己免疫疾患など難病の各専門分野に対応する病院を「難病診療分野別拠点病院」(いずれも都道府県が指定)として整理。都道府県難病診療拠点病院は診断・相談、教育、情報収集の各機能、難病診療分野別拠点病院は診断・相談、教育機能を担い、一般病院や診療所と連携して難病医療の提供にあたるとしている。

また、極めて希少な疾患などで都道府県レベルでは診断がつかないときに、都道府県の枠を超え早期に診断を行う、全国レベルの「難病医療支援ネットワーク」の整備を提案。同ネットワークは都道府県難病診療拠点病院を中核としてナショナルセンター、難病研究班、各分野の学会、IRUD(※)、難病情報センター、都道府県難病診療拠点病院で構成される。

難病の診断と治療の流れも示した。診断は拠点病院が中心で、医師や患者は難病情報センターなどの情報を活用して、どの拠点病院で診断を受けられるのかなどを判断する。診断後の治療にあたっては、より身近な医療機関で適切な医療を受ける体制とし、拠点病院から一般病院などへの“逆紹介”もあるとしている。

委員からは「がん拠点病院など、いろいろな拠点病院があり、皆(求められる医療レベルなどが)少しずつ違う。その比較表を作ってもらえると分かりやすい」との意見があり、事務局は「他制度の拠点病院との整理については、来年度に各都道府県に通知する際に誤解を生まないような準備をしたい」と述べた。また、難病患者の就労支援に関するより具体的な記述を求める声に対しては、「次回の委員会でより具体的なものを出したい」と応じた。そのほか、難病医療提供体制を実際に動かしていく人材の育成について、より詳しい記述を求める意見などが述べられた。

次回の委員会でも引き続き難病医療提供体制について議論し、委員会としての報告書をとりまとめる予定。

※IRUD(Initiative on Rare and Undiagnosed Diseases、未診断疾患イニシアチブ)は、希少な疾患や未診断の疾患に対する先導的な新政策。

 

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