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喫煙の健康影響に関する検討会報告書(たばこ白書)を公表

9月2日、厚生労働省健康局は「喫煙の健康影響に関する検討会報告書」を公表した。報告書はいわゆる「たばこ白書」で、1987(昭和62)年に初めて公表されてから今回で4回目となる。前回(2001〈平成13〉年)の白書からは15年ぶり。その間、受動喫煙問題など喫煙に関する新たな科学的知見が蓄積され、「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」(FTCT)が発効されるなど、たばこ対策を取り巻く状況は大きく変わってきた。そうした中、わが国でも学校、病院、官公庁などの禁煙化が進んだが、対策面の弱さが指摘されている分野もあり、2020 年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会を控え、より一層の受動喫煙防止対策の強化や、喫煙の健康影響の普及啓発推進が求められていた。

白書は、①たばこ製品の現状②たばこの健康影響③たばこ対策の3章で構成。たばこの健康影響の章では、日本人のたばこと疾患の因果関係を初めて明記し、海外の評価方法を参考に、因果関係の強さを4段階(レベル1~4)で示した。喫煙者本人への影響でレベル1(因果関係が十分ある)とされた疾患は、肺、口腔・咽頭、喉頭などの各種がん、虚血性心疾患、脳卒中、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、2型糖尿病、歯周病など。妊婦本人の喫煙では早産、低出生体重・胎児発育遅延、乳幼児突然死症候群(SIDS)がレベル1だった。一方、受動喫煙では、肺がん、虚血性心疾患、脳卒中、乳幼児突然死症候群などがレベル1と判定された。また、前回の白書にはなかった、無煙たばこや電子たばこの健康への影響にも触れている。

たばこ対策の章では、FTCTのMPOWER(※)に沿って項目を立て、わが国の対策を振り返った。MPOWERとは、たばこ規制に関する6つの主要政策の頭文字を取ったもので、対策の進捗評価のツールとしても使われる。2014(平成26)年時点で日本は、たばこ使用の状況・予防施策の実態把握については「最高レベル」と判定されたが、受動喫煙防止対策、脱たばこ・メディアキャンペーン、たばこの広告・販売・講演の禁止の取り組みは「最低レベル」とされた。

※MPOWER
M(Monitor たばこ使用と予防政策をモニターする)
P(Protect 受動喫煙からの保護)
O(Offer 禁煙支援の提供)
W(Warn 警告表示等を用いたたばこの危険性に関する知識の普及〈脱たばこ・メディアキャンペーンを含む〉)
E(Enforce たばこの広告、販促活動等の禁止要請)
R(Raise たばこ税引き上げ)

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