保健師を語る

「『みんなちがって、みんないい』ネットワーキングのすすめ!」
石川貴美子さん

神奈川県秦野市の石川貴美子さんは、秦野生れの秦野育ち。仕事を持ちながら大学院に通ったり、積極的に学会発表をしたり、とてもエネルギッシュな保健師さんです。保健師歴30年余の石川さんが、保健師として大切にしていること、その魅力について語ります。

2017-02-14

私は仕事ができる?

「みんなちがって、みんないい」は、金子みすゞさんの有名な詩の一節です。保健師一人一人がそれぞれ光輝き、地域の方たちから頼りにされる存在になれるといい――秦野市に就職してから、そんな思いを持ちながら仕事に励んできました。今の自分は、果たして輝いているか? 自信はありませんが、これまでの活動を振り返ってみました。
私は就職して12年目で、秦野市で一番経験の長い保健師になりました。当時は、母子から高齢者までの保健事業をこなし、雑誌や専門書に書かれていることを読んだだけなのに実践できていると勘違いし、自分は仕事ができると錯覚していました。そんなとき、市長に「何のために母子保健計画を策定するのか」と尋ねられてドキッとしたことを思い出します。その後、母子保健計画で目指そうとすることが、単に事業を行うだけでは解決できないことに気づきました。

すごい保健師活動との出会い

そんな井の中の蛙だった私にとって、滋賀県水口町(現甲賀市)の堀井とよみさん(現京都光華女子大学教授)の講演、神奈川県津久井町(現相模原市)の清田京子さんと高橋こずえさんの学会発表、全国いきいき公衆衛生の会サマーセミナーでの岩手県滝沢村(現滝沢市)の熊谷多美子さんの事例発表は衝撃的でした。「こんなすごい保健師活動をしている人がいるのだ」と。
「秦野市も」と、仲間と一緒に学会発表等を通じて計画(目的)を意識して保健師活動の振り返りを繰り返しました。このころから、ヘルスプロモーションの理念をふまえた地域活動の立ち上げやネットワーク構築、PDCAサイクルにそった活動を意識できるようになってきたと思います。

分散配置のひずみ

しかし、秦野市でも保健師の分散配置が進んでいます。今では21人の保健師が6部署に分かれて活動しています。庁内保健師連絡会を行っていますが、ちょっと気を抜くと成人と高齢の部署で別々に同じような事業を実施するなど、縦割りの弊害が出てしまいます。
保健師業務の質を改善できないと、つい職場環境などのせいにしてしまいがちです。でも、保健師業務を一番知っているのは保健師です。業務を効果的・効率的にできるのは、私たち保健師しかいません。支援を必要としている人たちに何ができるのかを考え、頭を使うことをあと回しにせず、毎日少しでも良い活動を展開できるよう努めることが大事だと思います。

自分の弱みと向き合う

成長するためには自分自身の壁を乗り越えなくてはなりません。私の場合、新たな取り組みを行うときの現状分析が甘く、具体的な方法を走りながら考える傾向があり、効果を上げられなかったこともありました。自分の弱点と向き合うのはつらいですが、目を背けるのは無責任です。反省点はその都度立ち止まって整理・検証し、次に挑むしかありません。

地域包括ケアシステム構築に向けて

現在、高齢部署で地域包括ケアシステムの構築に向けて、介護予防・日常生活支援総合事業、認知症施策、在宅医療・介護連携推進事業、日常生活体制整備事業などさまざまな事業を立ち上げています。健康寿命の延伸と安心して暮らせるまちを目指し、世代間交流や保健福祉以外の部署、他機関、民間と連携しながら、地域の課題と事業をどうつないでいくか、さまざまな立場の方たちとの議論や検討を積み重ねています。
中長期的な視点に立ち、保健師として担うべき役割は何か、効果をどう示すかを明確にし、責任を持って進めていくには、それ相応の覚悟が必要です。

人間は死ぬまで勉強

秦野市に勤務して30年余り。市民の皆さんをはじめ、職場の上司や同僚、関係機関、他の行政や公衆衛生関係者の方々など、多くの出会いからいろいろなことを学びました。ネットワークにingをつけてネットワーキング(出会いから連携へ)。経験を積めば積むほど素敵な出会いも広がり、とても魅力的な仕事だと思っています。地域に光輝く保健師が増えることを心より願っています。共に頑張りましょう。
                     (秦野市福祉部高齢介護課専任技幹〈兼〉課長代理)

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