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「人生100年時代に向けた高年齢労働者の安全と健康に関する有識者会議」で報告書骨子案を提示

11月27日、厚生労働省の「人生100年時代に向けた高年齢労働者の安全と健康に関する有識者会議」(座長=城内博日本大学理工学部特任教授)の4回目の会合が開かれ、報告書の骨子案が示された。

少子・高齢化が進む中、高年齢者雇用安定法で高年齢者の雇用確保が義務づけられ、労働者の高年齢化が予測されている。また、いわゆる骨太方針2019では、サービス業で増加している高齢者の労働災害防止に関する記述が盛り込まれている。こうした状況を踏まえ、高年齢労働者の安全と健康に関して幅広く検討するため、今年8月に「人生100年時代に向けた高年齢労働者の安全と健康に関する有識者会議」が設置され、3回にわたり議論を重ねてきた。この日の会合では、これまでの議論を踏まえた報告書の骨子案が示された。

報告書の構成は▶はじめに▶働く高齢者をめぐる安全と健康に関する現状と課題▶高齢者が働きやすい職場環境の実現のために(ガイドラインに盛り込むべき事項)▶国、関係団体等による支援▶地域で取り組まれている健康づくりや健康保険の保険者との連携――となっている。

「働く高齢者をめぐる安全と健康に関する現状と課題」では、働く高齢者の就業状況をはじめ身体機能や健康状況、労働災害や業務上疾病、企業の取り組みの現状、今後の課題と対応を整理。企業の取り組みの現状の中では、健康経営やコラボヘルスについても触れている。

「高齢者が働きやすい職場環境の実現のために」では、事業者が実施すべきこととして、リスクアセスメント、職場環境の改善、健康診断や体力テストによる高齢者の状況把握、それに基づく高齢者への配慮などを挙げた。体力テストの例としてはフレイルチェックの項目などがあるとし、本人の“気づき”を促すことの重きを置いている。

行政保健師と関わる部分としては、「地域で取り組まれている健康づくりや健康保険の保険者との連携」がある。地域保健と職域保健の連携により、保健所や市区町村の保健師等が高齢者を含めた労働者の生活習慣改善や健康づくりに携われることを明記している。

議論の中では、複数の構成員から健康経営やコラボヘルスに関する記述が唐突で、用語の解説が必要ではないかとの指摘があった。また、体力テストが本人の“気づき”を促すという記述については多くの構成員が賛同したが、一方で「テスト」という呼称が体力測定をイメージさせるためそぐわないとの意見が相次いだため、城内座長はこうした細かい表記について事務局に再検討を求めた。

次回(12月25日)は、この日の議論を踏まえて報告書案が提示される予定。

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