ニュース

全国健康関係主管課長会議

2月12日、厚生労働省の「全国健康関係主管課長会議」が開かれた。健康局長のあいさつおよび資料を掲載する。

宇都宮啓健康局長のあいさつ【要旨】

■たばこ対策
たばこ対策は、昨年健康増進法が改正され、受動喫煙対策を進めることになっている。私は地域保健健康増進課課長補佐のときに健康日本21の策定作業を行ったことがある。第三次の健康づくり運動である健康日本21は、それまでの健康づくり運動とは違い、健康増進も含めた一次予防に力を入れ、ハイリスクアプローチからポピュレーションアプローチに持っていき、さまざまな政策を後で評価できるよう数値目標をつくるなど、当時としては画期的な健康づくり運動だった。その中で、喫煙関係については「喫煙率半減」という目標を掲げたが、反対も多く、「未成年の喫煙率ゼロ」などの目標に変わったという経緯がある。

それから約20年、今回法改正で法的な担保をもとに受動喫煙対策ができることになり、非常に感慨深い。「まだまだ足りない」と言う方もいるが、着実に受動喫煙対策は進歩している。実効性が本当に担保できるかは、現場の皆さんの力にかかっている。先月、改正健康増進法が施行され、現在はパブリックコメントを踏まえ、すみやかに政省令の交付に向けて準備を進めている。この7月1日からは部分施行、来年の7月からは全面施行となる。来年のオリンピック・パラリンピックに向けて、制度が順調に走り出すよう、皆さんのご協力をお願いしたい。

■健康日本21
健康寿命の延伸は、政府全体としても取り組んでいる大きな課題である。厚生労働省としても大臣をトップに、2040年を展望した社会保障の改革本部を立ち上げ検討を進めているところだ。この夏までに「健康寿命延伸プラン」をまとめる予定だが、それぞれの地域におけるさまざまな地域資源、栄養改善推進員などのボランティアの力を活用した従来健康寿命の延伸に関する活動は、公衆衛生分野が得意としてきたところである。

■風疹対策
昨年の夏からかなり増加し、今だいぶ増加傾向がおさまってきているが、2013年には1万4000人を超える流行が出て先天性風疹症候群の赤ちゃんが45人ほど生まれた。来年度のラグビーワールドカップあるいは再来年度のオリンピック・パラリンピックに向けて、そうした流行が絶対に起きないように風疹対策を一気に進めたい。昨年12月に追加的風疹対策を打ち出したところだ。

ワクチン接種の対象は、現在39歳から56歳の方としている。具体的には昭和37年4月2日生まれから54年の4月1日生まれまでの男性で、抗体値が低いという理由による。しかし抗体価が低いといっても8割くらいの方は抗体を持っているため、ワクチンが無駄にならないよう、抗体検査の結果、抗体価の低い方が対象となる。

予防接種法を改正し定期接種とする。現在、抗体検査は都道府県事業だが、市町村で行っていただくことになる。対象は事業所などで働いている方が多いため、事業者健診の機会を活用して抗体検査を受けていただく。また、平日もできるだけ接種できるように、さまざまなところに働きかけている。現在、ガイドラインを作成しているので、これを活用して円滑な風疹の予防接種の実施に取り組んでいただきたい。

■児童虐待とヘルス部門
地域保健対策に絡み、児童虐待についてお話しする。野田市の悲惨な事件や目黒区の事件があった。行政に携わる者として、あのような悲惨なことをなんとか防げないかと思っている。児童相談所を中心とした施策が次々打ち出されているが、ヘルス部門では虐待の起こるハイリスクの方々をある程度把握されているケースがあると思う。未熟児など、お子さんの側の要因もある。親御さんが精神の関係で保健所の支援を受けている場合もある。親御さんが被虐待児であることもある。母子健診に来なかったり、来たとしても少し様子がおかしかったり、いろいろなことがある。こうしたことにヘルス側が勘を働かせ、予防に取り組み、児童相談所や市町村の虐待窓口と連携することが非常に有効ではないかと思う。

私事になるが、平成14年から16年に岡山県の保健福祉部長を務めていたときに、児童相談所と保健所、愛育委員のネットワークを強化したことがある。全国で虐待通告がうなぎのぼりに増える中、岡山県は横ばいという状況にある。ほかの自治体でもいろいろな取り組みで成功されている事例はあると思う。ぜひ、児童虐待もヘルスの問題として捉えていただきたい。25年ほど前にアメリカに留学していたとき、ある人から「アメリカでは虐待やDVの事件が起きたら警察とか救急医療の話になるが、予防を担うのはパブリックヘルスだ」という話を聞いた。一次予防にも心を砕いて、児童相談所あるいは市町村の虐待担当と協力していただきたい。

リンク

ニュース

ページトップへ