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【レポート】落語で学ぶ日本の食文化と伝統 埼玉県志木小学校の取り組み

2016年12月16日、埼玉県志木小学校において、3、4校時に開催された出張落語会を取材した。

~聞く・思い描く・演じる・味わう力を育む~“心に染みる”出張落語会

一風かわった「出張落語会」という授業、埼玉県志木小学校の多目的ホールには、当日参加する6年生の子どもたち約90名が集まり、保護者や県の教育長の視察、複数のメディア取材が入るなど、この授業への注目度の高さが伺われた。

出張落語は、冷凍アルミ鍋焼きうどんで知られる株式会社キンレイが、鍋焼きうどんが広まった江戸時代に、落語もまた多くの人に親しまれて伝統芸能として発展を遂げてきたことに共通点を見出し、日本の文化継承に貢献するために行っている「キンレイ心染プロジェクト」という事業によるものである。

この日の落語の演目は、二人の登場人物が、熱い豆をつまんで美味しそうに食べるしぐさが印象的な「みそ豆」、そして勘定のときに店の亭主に時間をたずね、支払いをごまかそうとする「時うどん」の二つ。

出張落語会の様子

「みそ豆」を演じる学生落語家 緑月亭 桔梗(りょくげつていききょう)と聴き入る志木小学校の子どもたち

落語を見るのは初めてという子どもが多かったが、演じるのが学生落語家ということで年齢も近いせいか、すぐに親しみ、演技に引き込まれていたようだった。

「みそ豆」を聞いた後は、うどんの食文化に関するお話と、落語に登場する食べるしぐさから、お茶を飲む、おまんじゅうを食べる、うどんをすする、みそ豆を食べるの4つについて手ほどきを受けた。

そこに無いはずのうどんを思い描く力も上がったところで、次に「時うどん」を聞く。うどんをすする場面では、覚えたてのしぐさをまねる子の姿も。

プログラムは順調に進み、いよいよ子どもたちが自分で演じることに挑戦した。

照れたり笑いあったりしながらも、3つのクラスに分かれて「みそ豆」を練習。
子供用に用意された台本には、登場人物によって、右向き、左向き、しぐさなどがわかりやすく示されていた。
練習の成果は、クラスからそれぞれの代表が高座に上がって発表し、会場は大きな笑いと拍手に包まれた。
取材はここまでであったが、このあと子どもたちは教室へ戻り、学生落語家たちと給食を食べながら交流会を行ったとのこと。

さらに、この日の給食の献立は、「しっぽくうどん」と「みそ豆」という連携もあり、栄養教諭の熱心さも伝わってきた。
昨年度に初めて実施された落語会では、これまで豆の献立だと食べ残しが多かった子どもたちも、この授業のあとはきれいに完食できた子が多く、食べ残しの率も減ったということが高く評価され、今年度で2回目の開催に至ったということだ。

出張落語のこれまでの開催実績は次の通りで、子どもに限らず、大人も十分楽しめる内容となっている。
・介護老人施設でのレクリエーション
・地域ボランティアグループ、
・敬老会や子ども会などのイベント
・幼稚園や学童
・小学校での食育授業 など

開催エリアが東京・埼玉・千葉・神奈川の一都三県であること、30名以上で開催などの条件はあるものの、原則として学生落語家はボランティアなので無料(ただし交通費は負担)で出張してもらえるとのこと。

今回は対象が児童であったが、地域の食育や世代間交流イベントとして、また、噛む、飲み込むなど口腔機能向上の啓発や、笑うことによるストレス解消・免疫機能の向上としても効果が期待できるのでは。

ご興味のある方は、以下のサイトよりキンレイ心染プロジェクト事務局へ直接お問合せを。

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