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【レポート】平成28年度 地域・職域連携推進関係者会議

2016(平成28)年10月20日、東京都新宿区の戸山サンライズで「平成28年度 地域・職域連携推進関係者会議」が開かれ、行政説明、講演、事例報告、グループワークなどが行われた。昨年度までは地域保健関係者と労働衛生関係者が出席していた地域・職域連携推進関係者会議だが、今年度からはこれらに加えて保険者も参加するようになった。行政説明を中心にレポートする。

健康局長挨拶

冒頭の挨拶で福島靖正健康局長は、健康日本21(第二次)、特定健診・特定保健指導、スマートライフプロジェクトなど、政府を挙げて健康寿命の延伸に取り組んでいることを紹介し、「これに加えて、がん検診の受診率向上、メンタルヘルス対策、データヘルスの推進も重要な課題。施策を進めていくにあたり、地域保健、職域保健が連携して、それぞれの課題を共有し解決に取り組むことが、生涯を通じた国民の健康づくりの推進に非常に有効な方法であると考えている」と話した。

その上で、「それぞれの立場で地域・職域の関係者間の連携をはかる役割を果たし、健康寿命の延伸あるいは健康格差の縮小に寄与いただきたいと考えている。地域と職域のそれぞれの強みを生かしながら連携を進めていく方法について、活発にご議論いただきたい」と要望した。

地域・職域連携の推進について
島田陽子氏(健康局健康課保健指導室長)

島田氏は健康日本21(第二次)の大きな柱として健康寿命の延伸が位置付けられていることを取り上げ、「健康日本21の第二次では平均寿命と健康寿命の差を縮めることを目標に掲げている。最近では健康寿命という言葉が健康施策のみならず、日本再興政略やニッポン一億総活躍プランの中でも掲げられ、国を挙げて領域横断的に健康寿命の延伸に向けた、さまざまな取り組みを進めていく機運が高まっている。その中で地域と職域を連携させていかに健康寿命の延伸を実現していくかが重要な取り組みになっていく」と話した。

地域・職域の連携では、地域保健法や健康増進法に基づき、都道府県および2次医療圏ごとに地域・職域連携推進協議会を設置することとなっている。島田氏は具体的な連携のあり方として「PDCAサイクルをビルトインして現状を把握し、地域・職域それぞれの強みを生かすことを一緒に考えてプランを立て、事業実施後に評価をし、次の取り組みに反映させていくことである」と説明した。連携する保健事業としては特定健診・特定保健指導、自殺・うつ病等対策、がん検診の受診率向上などを挙げた。

後半では、2016(平成28)年9月に都道府県、保健所設置市・特別区を対象にした、地域・職域連携推進協議会の設置や実施状況に関するアンケート結果を報告した。都道府県の回収率は100%(N=47)、保健所設置市・特別区の回収率は92・6%(N=88)だった。協議会の設置状況は、都道府県で「設置している」が46、「以前は設置していた」が1、保健所設置市・特別区では、「設置している」が24、「設置していない」が59、「以前は設置していた」が5だった。協議会の開催回数を平成25~27年度の3年間の推移でみると、全体としてやや減少傾向にあった。

自由記載では、協議会の取り組みにおける課題として、都道府県では「相互間で連携した取組みを実施するまでには至っていない」、二次医療圏・保健所では「データに基づいた現状把握ができていない」、保健所設置市・特別区では「地域の健康課題明確化や目標設定まで発展しない」などとなっている。地域・職域連携推進事業の方向性としては、都道府県では「産官公連携による研究開発」、二次医療圏・保健所では「管内市町村全体の健康課題を保険者協議会で提言する」、保健所設置市・特別区では「健康経営の推進」などの記載がみられた。

「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」について
塚本勝利氏(労働基準局安全衛生部労働衛生課産業保健支援室長)

同ガイドラインは、がん、脳卒中などの疾病を抱える従業員に対して、適切な就業上の措置や治療に対する配慮を行い、治療と仕事の両立ができるよう、職場における取り組みなどをまとめたもので、16(平成28)年2月に公表された。

塚本氏は定期健康診断の有所見率が年を追うごとに増加しているとしつつ、「30年ぐらい前の就業者は20代から50代ぐらい、昨今は20代から場合によっては70歳ぐらいまでとなっている。上乗せされた20年間分、疾病発生率の高い年代にもなる」と説明し、職場になんらかの疾病を抱えた人がいるのが普通の状況になりつつある現状を報告した。

ガイドラインは、①治療と職業生活の両立支援を巡る状況②治療と職業生活の両立支援の位置づけと意義③治療と職業生活の両立支援を行うに当たっての留意事項④両立支援を行うための環境整備(実施前の準備事項)⑤両立支援の進め方⑥特殊な場合の対応――で構成される。両立支援の流れとしては、労働者から主治医に仕事の情報を提供する→主治医から就業上必要な措置等に関する意見をもらう→主治医の意見書を労働者から事業者に提出する→事業者が就業上の措置等について産業医等の意見を聴く→事業者が就業者を継続させるか否か、就業上の措置等の内容・実施時期を検討する→事業者が就業上の措置等を決定し実施する――などとなっている。

塚本氏は「この対策の実現は、会社サイドだけの対策では解決しない。主治医である医療機関、会社、労働者の方との連携がポイント」と強調した。

地域・職域における健康づくりについて
佐藤かがり氏(保険局医療介護連携政策課データヘルス・医療費適正化対策推進室保健事業推進専門官)

佐藤氏はデータヘルス計画について「データを活用しながら、PDCAサイクルを回し、健康寿命の延伸と医療費の適正化を同時に図っていくもの」と説明した。また、データヘルス計画においてはコラボヘルス(関係機関との協働)が重要であるとして、「被用者保険と事業主との連携、地域と職域との連携のほか、保険者には(データ分析などの)専門家がいないので、近隣の学術機関との連携などもある」と話した。

また、データヘルス計画の一環で15(平成27)年に発足した日本健康会議の「健康なまち・職場づくり宣言2020」(宣言1~8)を紹介。このうち、地域・職域連携に関係する宣言3「予防・健康づくりに向けて47都道府県の保険者協議会すべてが、地域と職域が連携した予防に関する活動を実施する」では、達成要件として、▸集合契約、検診と健診の同時実施に向けた調整等の連携を図っている▸保険者等の間で問題意識の共有化を図るための取組を実施している▸データヘルスの効果的な事例を都道府県内の保険者で広める取組を行っている▸保険者間で特定健診情報データ移動を行う場合の一定のルールづくりを行っている▸保険者種別の枠を超え、共同で行う予防・健康づくりの取組がある――の5つがあるが、残念ながら現時点で5つのすべてを達成した保険者協議会は0であると報告した。

その他

荒木田美香子氏(国際医療福祉大学副学部長・学科長・教授)は「地域・職域の互いの強みを活かした生活習慣病予防」をテーマに講演した。事例報告では、「日本一の健康長寿県構想による高知県の取組」(高知県健康政策部健康長寿政策課企画監、谷聡子氏)、「小規模事業場を対象とした産業保健活動支援の取組事例」(独立行政法人労働者健康安全機構福岡産業保健総合支援センター労働衛生専門職、柿森里美氏)、「行政との連携による健保組合のコラボヘルス取組事例」(静岡新聞放送健康保険組合主任、岩本早苗氏)の3者から報告がなされた。また、地域・職域連携推進における現状と課題をテーマにグループワークが行われた。

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