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【レポート】第2回市区町村の支援業務のあり方に関する検討ワーキンググループ

9月16日、厚生労働省の「第2回市区町村の支援業務のあり方に関する検討ワーキンググループ」(座長=松本伊智朗北海道大学大学院教育学研究院教授)が開かれ、市区町村の支援拠点のあり方について検討した。

改正児童福祉法では、児童等に対する必要な支援を行うための拠点整備を市町村の努力義務としている(来年4月1日施行)。それを受け、ワーキンググループは8月8日に初会合を開き、拠点機能のあり方や支援業務を実施するためのガイドラインについて議論を始めている。
検討事項は、①市区町村が児童等に対する必要な支援を行うための拠点機能のあり方、推進方策②市区町村が虐待対応の具体的な支援業務(要支援児童等の情報提供、児童相談所からの委託を受けての通所・在宅による指導措置等)を適切に行うために必要な支援方策(ガイドライン)や専門人材の養成及び確保方策③要保護児童対策地域協議会の更なる活用等による関係機関の連携強化策④市区町村における総合的な支援体制の強化のあり方。このうち①と②は来年4月の改正法施行に合わせ急ピッチで議論を進め、年度内に結論を出すことになっている。

この日事務局は、支援拠点の運営に関する検討事項(案)の中で、検討事項を①趣旨・目的②実施主体③支援対象④支援内容⑤類型⑥主な職員⑦施設・整備⑧関係機関との連携⑨その他――に整理して示した。
検討事項(案)では、支援拠点の実施主体を市区町村とした上で、社会福祉法人等への委託や小規模市町村の場合は複数自治体の共同設置・委託も可能とした。支援対象は要保護児童、要支援児童、保護者、特定妊婦などとし、当事者の家族関係・家庭の経済状況などの把握、要保護児童対策地域協議会の構成機関への情報提供などを支援内容として挙げた。また支援拠点を大規模型・標準型・小規模型の3類型に分け、地域の実情に応じ子育て世代包括支援センターや要保護児童対策地域協議会の調整機関を兼ねることもできるとした。主な職員は要保護児童等支援員、心理担当支援員、虐待対応専門員とし、要保護児童等支援員は保健師や児童福祉司の任用資格を持つ者、心理担当支援員は臨床心理士、虐待対応専門員は児童福祉司の任用資格を持つ者などを想定している。

議論の中で奥山眞紀子構成員(国立研究開発法人国立成育医療研究センター副院長、こころの診療部長)は支援対象を要支援児童や保護者などの個人としている点について、「(虐待などが起きてしまうのは)個人に問題があるのではなくシステムの問題」と指摘、「個人ではなく関係性を含めたシステムとして考えることを念頭においたほうがいい」と提言した。
渡辺好恵構成員(さいたま市子ども育成部子育て支援政策課、子ども総合センター開設準備室主幹)は「都道府県の権限が市区町村に降りてから保健師は現場に出るよりも調整機能のウエートが多くなっている」と市区町村保健師の置かれた現状を報告。その上で、地方交付税交付金の中で保健師に関する交付税割合が一部しか公表されていないことに触れ、「どの程度なのかを示してもらわないと、人材確保の面から人事当局との交渉との際に武器がない。専門性の機能に影響する」とマンパワー確保に向けた情報提供を求めた。
奥山千鶴子構成員(NPO 法人子育てひろば全国連絡協議会理事長)は「自治体では(状況の)厳しい家庭しか視野に入れておらず、全体の子育て家庭との連携がうまくできていない。要支援や気になる家庭が増えている中、もう少し幅広く対応していく必要がある」と話した。

そのほか構成員の間からは、支援対象の区分けについての意見が相次いだ。奥山眞紀子構成員は「要支援児童というのはどの程度を言うのか、大まかな指標がほしい。市町村によっても(捉え方が)違うはずなので、そこをどうフィードバックし、ブラッシュアップしていくかを示してほしい」と求めた。加賀美尤祥構成員(社会福祉法人山梨立正光生園理事長、山梨県立大学人間福祉学部特任教授)は「要支援と要保護の境、一般と要支援の境の両方をどう示すかによって市町村の業務量なども変わってくる」と指摘した。これらの声に対し、松本座長は「支援拠点は何を念頭においているのかという根幹に関わることなので、重要な論点の一つとして踏み込んでいきたい」と次回以降も議論の上に乗せていく意向を示した。

支援拠点の運営指針については、次回(10月21日)にたたき台を示し、ワーキンググループでの議論をへて来年1月下旬には全国の自治体に提示する予定。

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