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【レポート】第1回生活保護受給者の健康管理支援等に関する検討会

7月26日、東京都港区の航空会館で、厚生労働省の「生活保護受給者の健康管理支援等に関する検討会」の初会合が開かれた。既に一部の自治体で進められている生活保護受給者の生活習慣病重症化予防に加え、次期制度見直しに向けて、福祉事務所を中心にデータヘルスに準じた取り組み方法を検討する。

生活保護受給者には糖尿病や肝炎など重症化すると完治が難しい疾患を抱えている者が多い。2014(平成26)年の「生活保護受給者の健康管理の在り方に関する研究会」のとりまとめでは、「福祉事務所等が糖尿病等の生活習慣病の重症化予防に取り組むべき」との提言がなされ、これを受けてレセプトなどから生活習慣病の受診・服薬中断者を把握し、訪問や電話等で受診継続支援などを行う取り組みが一部の自治体で始まっている。

一方、健診データを生かした発症予防や未受診者対策などは遅れている。生活保護受給者の健診は健康増進法で市町村の努力義務とされ、生活保護法改正により福祉事務所が健診結果を入手することが可能となったが、多くの福祉事務所では保健・医療の専門職が不足しており、レセプトとの突き合わせや内容分析をするのは難しいのが現状だ。

こうしたことから検討会では、次期制度改正に向け、医療保険者のデータヘルスを参考に健診データを活用した生活保護受給者の健康管理に関する支援について具体的な方策を検討する。生活保護受給者の特性を踏まえた介入方法や効果の評価、データに基づく健康管理支援を実施するための情報インフラの在り方などが検討課題となる。

この日は、2015(平成27)年度の「生活習慣病の重症化予防等の健康管理支援事業」の実施状況が報告された。実施自治体は95自治体で、そのうちの79自治体(83%)からアンケート調査の結果を得た。支援対象者の選定方法で健診部門の健診データを利用したのは8自治体(10%)、レセプトを利用したのは22自治体(28%)だった。データに基づかずケースワーカー等が選定した自治体は14(18%)で、ケースワーカーが健康管理支援が有効と思われる者を拾い上げ担当者会議で決定したり、医療要否意見書の記載内容などから対象者を選定したりしていた。自治体独自の選定基準を設けているところは12自治体(15%)で、ケースワーカーが保健師に相談の上、対象者を選定するなどしていた。

構成員からは「生活保護受給者の場合は一般の保健指導とは違い、社会的背景などによっては難しい。そのあたりが分かる95自治体の詳細な調査結果がほしい」との意見が出され、事務局は「追加という形で(アンケートに)入れていきたい」と応じた。また、福祉事務所が把握できるデータと把握できないデータ、生活保護受給者が改善可能なものと改善できないものなどを整理すべきという指摘もあった。ケースワーカーについては当事者と継続的に関わりフォローできる強みがあるため、その活用に期待する声が聞かれた。

検討会は今後3、4回開かれ、年度末に論点整理ととりまとめを行う予定。

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