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第九話:パートナーシップを築くために
  TO → WITH → FORへの発展

「TO」・・・向かい合ってしっかり話し合い
「WITH」・・・一緒に取り組み
「FOR」・・・目指すものを共有して取り組む

国の命を受けての地方行政の立場や、専門家としての指導的立場から、住民と「TO」の関係でいる限りはパートナーシップ構築へは発展しません。住民と「WITH」の関係になって初めて住民ニーズを把握した本来の支援ができるようになります。

しかし「WITH」の関係もそう長続きはせず、やがて「Against」つまり敵対関係になりうる可能性すらあります。話し合いを通じて、「HOW TO」ではなく、何を目指すかの「WHAT FOR」を共有できる関係になってこそ、パートナーシップを図ることができるのです。

そうすれば,住民の真のニーズを共に実現して行くのだという気持ちで、住民の後押しを背中に感じながら、自信を持って取り組めるようになれるでしょう。

そしてその力が実際のまちづくりにつながる過程を住民にしっかり伝えることができれば、協働の成果を互いに実感し、強い信頼関係が築けると思います。

この活動姿勢を心がけることは、ハイリスクアプローチとポピュレーションアプローチの融合にも大きく寄与すると思われます。「TO」という住民や集団に向かうベクトルだけではハイリスクアプローチに留まることとなり、「WITH」・「FOR」といった、目指す方向へのベクトルが共有できてこそポピュレーションアプローチとの融合につながるのです。

各事業を活かして、このベクトルを共有して、地域資源とのコラボレーションをはかるために、TO→WITH→FORへのパートナーシップ構築への流れを意識して取り組むことが重要です。

また目指す方向を共有するためには、「すべてのサービスはその提供ではなく、それを通じて住民(患者)ニーズを抽出していくことにねらいがある」と割り切る姿勢が極めて有効です。

地域における科学的根拠(EBM)とは住民の真のニーズをとらえ共有していることであり、そのためのコミュニケーションスキルの向上が何より必要となります。住民の声を聞き、目にみえる「形」にしていくプロセスを通じて、互いのパートナーシップが築かれることを忘れないことです。


櫃本真聿
櫃本真聿

愛媛大学医学部附属病院 医療福祉支援センター長
愛媛県各地の保健所長を経て平成14年8月に現職にいたる。

愛媛CATV番組審査員、FM愛媛(79.7Hz)「care of life」のパーソナリティも務める。

―著作―
「ケースメソッドで学ぶ ヘルスプロモーションの政策開発−政策化・施策化のセンスと技術−」(株)ライフ・サイエンス・センター発行
「ヘルスプロモーション時代の 自治体保健専門技術職員の効果的活用」行政発行



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