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第七話:誠実以外の褒め言葉がないのはいかがなものか

「誠実」の意義を否定しているわけではないのですが、「誠実」以外の褒め言葉が見つからない人はどうかと思います。

あたえられた仕事をきちんとこなすことは、責任感の強さとともに信頼を得ることになり、「誠実」は組織においては極めて重要な姿勢ではあります。しかし自ら仕事を開発推進していく上では、それだけでは不十分ですし、「誠実」を売りにされてしまうとブレーキにもなりかねないと考えています。

また技術職の「落とし穴」と言ってもいいかもしれない注意すべき共通点があります。

技術サービスを提供すれば、自分の役割は果たせたと思い込み、目的より手段(サービス等)の実践に完結しがちで、他の職種や部門との連携を軽視してしまうことです。

「誠実」の名の下に、"木を見て森を見ず"と言われるように、どのような効果につながっていくのかを理解しないまま、自分の責務を果たすことに徹して、きっと成果は出るに違いないと信じてしまうことです。

一方「いいかげん」と言われて褒められたと思う日本人はまずいないでしょうが、本来「良い加減」である訳で、いわゆる「中庸の得」といったバランスが取れている、むしろ好ましいと状態でもあるのです。

どちらかに徹底することが「誠実」の証のように思われがちな日本人気質においては、中途半端ということで否定的にあつかわれるのでしょうが、やはりバランスのほうを重視すべきだと考えます。

少々リスクが想定されても、冒険していくチャレンジ精神が、今まさに公務員であっても、医療者であっても必要だと思います。

「誠実」を振り捨ててという訳ではありませんが、あたえられた業務にしばられることなく、目的を確認して、その実現に向けて、自らチャレンジャーがとなって、主体的に見直しに取り組むことを心から期待するものです。

ただし、見直しといっても、これまでの積み重ねは大切です。今が問題だからと言って、過去を悔いたり切り捨てたりする必要はありません。すべてを振り出しにではなく、これまでの失敗も成功も含めた経験を活用することが何よりの原動力なのです。


櫃本真聿
櫃本真聿

愛媛大学医学部附属病院 医療福祉支援センター長
愛媛県各地の保健所長を経て平成14年8月に現職にいたる。

愛媛CATV番組審査員、FM愛媛(79.7Hz)「care of life」のパーソナリティも務める。

―著作―
「ケースメソッドで学ぶ ヘルスプロモーションの政策開発−政策化・施策化のセンスと技術−」(株)ライフ・サイエンス・センター発行
「ヘルスプロモーション時代の 自治体保健専門技術職員の効果的活用」行政発行



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