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第六話:一連の医療制度改革の真意を知ろう

先が見えないと愚痴をこぼしながら、結局は中央政府主導で決まっていく制度やシステムに振り回されている現状があります。

今こそわが国のこれからの保健・医療・福祉の進む方向を予測して、自ら一歩踏み込んで取り組む心構えや実践が肝要で、そのためにも今回の医療制度改革について十分理解しておくことが不可欠です。

医療制度改革は、財政再建のための経済最優先を背景に、国民生活に大きな影響を与えるものであり、そのねらいは「患者(住民)満足度の向上」と「医療費の適性化(抑制)」という、一見互いに矛盾するような関係に思われる二つの命題を実現することにあります。

地域医療連携や地域ケアの充実など、現実的に多少効果が期待できるチャンスでもありますが、保健・医療・福祉各分野の役割分担が先行して、「メタボリック」や「特定高齢者」といった単独の項目に振り回されることなく、地域が主体性を持って、全貌を捕らえた中での取組みが必要です。

そのためには全体像や流れをつかむことが重要です。この改革(改悪?)は医療だけでなく保健・福祉分野へ多大な影響を及ぼすことは必至で、具体的なイメージを自分だけではなく関係者や住民(患者)へも伝えられるように、ここは再確認も兼ねてじっくりと考えて欲しいと思います。

財政再建のために医療費を削減するということが国の大前提です。

医療費を削減するための生活習慣病予防ということですが、よほどセルフケア意識が普及しない限り生活習慣病対策では医療費は下がりません。なぜならば医療費を一番上げるのは何かというと、医療の進歩だからです。

つまり、医療費抑制には医療の進歩を止めることが最も効果的です。もしくは医療をアメリカのように産業化して、金を出せばいい医療が受けられる方向に切り替える。つまり国民皆保険を見直して強制保険にしてしまって混合診療をどんどん入れ、任意保険によるカバーを強化する。そういうスタイルにしない限り、基本的には医療費は下がらないでしょう。

国もそれを十分知り尽くした上で、特定健診を導入した訳は、「太っているやつは非国民だ」という、いわゆる「健康の義務化」という流れの中で、自業自得感の普及にあるように思えて仕方ありません。気をつけない人はその分自分で保険料払いなさいよと言わんばかりに。

世間では、「たばこを吸っている人は当然自業自得で肺がんになったのなら、そんなの税金で賄う必要はない」といった声も出てきています。その中で今度は肥満も非国民として加わっていくということになるのでしょうか。


櫃本真聿
櫃本真聿

愛媛大学医学部附属病院 医療福祉支援センター長
愛媛県各地の保健所長を経て平成14年8月に現職にいたる。

愛媛CATV番組審査員、FM愛媛(79.7Hz)「care of life」のパーソナリティも務める。

―著作―
「ケースメソッドで学ぶ ヘルスプロモーションの政策開発−政策化・施策化のセンスと技術−」(株)ライフ・サイエンス・センター発行
「ヘルスプロモーション時代の 自治体保健専門技術職員の効果的活用」行政発行



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