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第七話:もう「こんな地域」と言わせない

医療だけでは住みよい地域をつくるには限界があるということで、NPOの地域づくりの活動を展開しています。また医療法人とグループ会社で認知症グループホームを地域内に作り、ずっと慣れ親しんだ地域に住むことができるようにしてきました。

私が地域活動を始めた平成11年頃には、地域の中に高齢者がずっと暮らしていくためのフォーマル、インフォーマルなサービスがないことで、都市に住んでいる息子や娘のところに引っ張られていってしまった人たちが続出していました。「こんな地域において置けない。」と。

当のご本人たちは長年お付き合いしている慣れ親しんだ友人や家を離れることはつらかったでしょう。どうしているかしら。

今は、私たちの地域では一人暮らしでも、少しくらいの認知症でも見守られながら生活することができます。浅めし食堂からお弁当を届けながら、毎日顔を合わせますし、集金の時には現金のやり取りもするので、日常生活が大丈夫か、難しいかがよくわかります。病院からも往診でお伺いしています。いよいよ一人で暮らすのが難しくなると、地域内にあるグループホームに入ることができます。住んでいた家に散歩の途中で寄ることもできます。友達も遊びに来てくれますし、今までどおり、お寺での集まりにも出かけることができます。

一人暮らしをしていて、現在グループホームに住んでいる90歳のTさんは、お寺の集まりに出かけ、ちょっとつまづいて転び、大腿骨を骨折してしまいました。Tさんは迷いもなく手術に望み、「早くグループホームに帰ってリハビリをやる。」と意欲的でした。地域の友達は、早い退院と本人の元気ぶりに驚いていました。

この出来事は、いろんなことを考えさせられました。普通だったら、グループホームで外出させて骨折したことはまずいのではないか、という見方もあるでしょう。

私は、Tさんが、今までの生活と同じように地域の友達に支えられて外出ができ、思うような生活ができて、体を動かすことができたからこそ骨折することになったのだと思うのです。そして、お友達の励ましがあり、また元通りに外出したいと思うことで、驚異的な回復を遂げたわけです。

やりたいことができるような地域になってきました。

リハビリに関しても、グループホームの利用者さんが骨折の手術をした大きな病院に長くいることで、精神的に不安定になり、体のADLも悪化してしまったことがあり、できるだけ早く地元である私たちの病院に戻ってきてもらうようにしています。ということで、私たちの病院でもリハビリのスタッフを増やして対応できるようにしています。

医療だけでは、地域づくりはできませんが、医療が核となることで、安心して暮らすことができる地域を作ることができました。

もう、「こんな地域」なんて言わせないよ。

ハイスピードで進めていると言われてきた地域づくりですが、やはり時間はかかります。ヘルシーコミュニティを意識し始めてから7、8年です。行政や関係団体が1年の単発事業や3年の事業で取り組んでも地域づくりは無理だっていうことですね。


三上公子
三上公子

NPO法人活き粋あさむし 事務局長潟wルスプロモーション青森 代表取締役、医療法人蛍慈会理事、コミュニティ・レストランネットワーク運営委員、保健師、看護学修士

保健師らしい仕事をしたいがために行政の保健師を退職し、フリーの立場でヘルシーコミュニティ形成に奮闘中。
ヘルスプロモーションの活動において、地域住民の立場でコミュニティのしくみを探り、住みよい地域をつくろうと思って活動をしています。




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