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地域看護研究者の雑感
第九話:頭にハリと潤いを

保健師以外の職種の研究者からよく言われること、
「保健師さんて本を買わないよね」
それこそ、エビデンスに基づいているのか、データを示して述べよ、といいたいところでもありますが、そういう状況も感じます。

講義等で参考図書を挙げて、ついでに値段まで言うと「保健所(あるいはセンター)で買ってもらえないか、稟議します」という反応も多いですし。

専門書は今、たいてい3,000円以上します。 これって高いんでしょうか。

私は英語が苦手なくせに、良いことが書いてあると思った英語の本を、自分が一番読み込んだ読者になりたいがために飛びつき、読み出していくうちに本当に自分の中に落とすために日本語訳をすることになり(これで私が英語ができないことがわかりますね。本当にできる人にこの作業はいらない)、でもそういう本だから他の公衆衛生従事者にも中身を知らせたくなった結果、訳本としての出版につながったこともあります。

こういう場合だと、原本の著作権を持った出版社に対して翻訳の権利のお金を支払うことになるので、安くはなりません。訳者はたしかに印税はいただきますが、かけた時間を時給換算すると最低賃金ををずっと下回る、ということになります。

訳本でない場合も然り、です。

たとえば3,000円という値段。使う化粧品の購買ラインは人さまざまでしょうが、安くもないが、すごく高くもないというラインの化粧水1本の値段くらいではないでしょうか。

そしてたぶん2ケ月くらいで1本終わるはず。無くなったら、(若いころはいざしらず)必ず買っていませんか。使わないと、肌がかさかさになったのを自分がすぐにわかるから。

本は頭の化粧水だと私は思います。
乳液が自分のところで行う事例検討会や勉強会―これで知識を自分のものとして”とじこめ”るから―
エステは、オフ・ザ・ジョブの研修会あたりでしょうか。

翻訳をすることになった本との出合いは、まさしくそれでした。ぐちゃぐちゃしていた頭が、そうか、こう考えればいいんだ、とすーっと潤った気がしたのです。

頭のかさかさは人からはわからないけど、自分が一番わかるはず。  いい本と出合うと、たぶん元気になれますよ。


鳩野洋子
鳩野洋子

九州大学大学院医学研究院保健学部門 看護学分野 地域・精神看護学教授

大学卒業後、臨床看護師、保健師を経て、研究職へ。研究領域は、保健師活動―特に行政保健師―にかかわる領域。

行政保健師の専門性、保健活動評価、高齢者保健、ヘルスプロモーション活動などを考えるべく奮闘中なるも、体力がないのが悩み。いい活動の話からエネルギーを充電。

2008年4月に、国立保健医療科学院 公衆衛生看護部看護マネジメント室長から九州大学大学院医学研究院保健学部門 看護学分野 地域・精神看護学教授になりました。



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