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ひきこもりは待つだけでは一向に解消へ向わないことが多い。そこで当会では、過去3年、約20都府県でひきこもりの訪問サポート士の養成講座を支援してきた。
訪問サポート士は、若者の居場所はもちろん病院にすら通うことができない当事者や、それに巻き込まれている家族に対する、外からの風となり、家庭を訪問し、家族や当事者に寄り添い、展望を開いてゆく。
手はじめに保護者(親)のサポートから始める場合が多く、家族機能不全を緩やかに解いてゆく。キーマンは父親であることが多い。
「大人組み」の当事者にはあと一歩の方が多いが、対人不安、対人恐怖などで、その一歩が踏み出せない例がほとんどである。訪問サポート士は両親のつらさもシェアしながら、そんな当事者の不安に寄り添い、相談にのる。
当事者の8割は男性であるため、とりわけ父親の理解が事態の展望を開く早道であることを説いていく。また親には地元の親の会や保健所の家族教室などへ参加することを勧めるようにしている。
訪問サポート士を依頼するかどうかは、基本的にサポートを受けたい側の選択である。親の会の月例会などで、訪問サポートを受けたい人と訪問サポート士が"見合い"をし、互いに相性を確認することになる。
家族会の支援スタッフとして月例会などに関与することにより、自然とサポートの依頼が増えてくる。
"見合い"の場ともなる月例会では、各訪問サポート士の特技的なことを紹介してゆくことにしている。例えば、「勉強を教える」「将棋・囲碁・釣り・パソコンを教える」「一緒にスポーツ観戦、観劇」「一緒に買い物に行く」「一緒にバスや電車に乗る」「一緒に公園で遊んだり、スポーツをする」「街を一緒に歩く」「一緒に旅行をする」「病院に同行する」などなど。
訪問サポートの要領は、受ける側と訪問サポート士の間で協議して決定し、家族会は関与しないことにしている。ただし基本的な事項(報酬・頻度・連絡等)は遵守してもらうようお願いしている。
最初の訪問はベテランに同行したり、家族会の仲間とともに1〜3人で茶飲み話に行くような形が多いが、基礎的な経験を積んだら、後は「習うより慣れよ」である。
訪問サポート活動は、訪問サポート士自身の人生観を磨く機会ともなる。定期的に訪問サポート士同士が集まり事例を話し合う勉強会を行い、互いのレベルアップをはかるよう勧めている。また、医師や臨床心理士などからスーパーバイジングを受け、訪問サポート士自身がクライアントの件で一人悩み、孤立しないよう心掛けている。
ひきこもり歴3年以上の当事者はSAD(社会不安障害)と他の神経症を併発している可能性が大であり、SSRI剤を補助剤とした認知行動療法やセラピーが望ましいが、「若者の居場所」「グループホーム」「自助グループ」などへ誘うことで、対人関係に慣れ、人との距離感をつかむことができる。訪問サポート士はこれらの場所に同行したり、必要な場合には、精神保健福祉センターや医療機関へもつなぐ役割を果たす。
近年関係者に認識され対策が講じられつつある発達障害(アスペルガー障害−高機能自閉症、LD−学習障害、ADHD−注意欠陥性多動障害)が、学齢期での初期対応不全によりこじれ、不登校やひきこもりへと至るケースも多いことから、訪問サポート士には発達障害に関する知識も求められる。
訪問サポート士は、単なる当事者の「引き出し屋」ではない。当該家族や当事者に寄り添い共に展望を開いていく崇高で高度な職種であり、大切なのは学識ではなく、訪問サポート士の「愛と、工夫と、情熱」である。
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